鬼数

こんにちわ、
気合いと根性でゲリョ皮47枚集めたJUBIAです。
趣味防具のゲリョ防具ですが、とうとう強化するのに一部位につきゲリョ皮10個、計50個必要になりました。
手持ちの残りは3個。
たはっ・・・。
普通に下位ゲリョに行っても、一度に手にする皮の数はヘタすると0個の時がある程、意外とレア度★だと思うのであります。
ところが、ザクザク皮が出るクエ発見!
闘技場下位ゲリョ2匹クエです。
1クエ当たり5~8個は取れます。
これで、不足していた47枚を調達しました。
ふ~っ、
ちょっとゲリョはもうお腹いっぱいになってきたところですが、きっとこれからも鬼のような数を要求される事でしょう。
一部位につき、皮99個とかにならないよう祈ります。

高知デビュー

こんにちわ、
エルペを狩る人は悪人に違いないと思うJUBIAです。
高地、素敵です。
エルペは可愛いし、ブルックもモフりたいと思いましたが、何ら猪と変わらぬウザさに前言撤回。
初アイテムだらけに早くもBOXがいっぱいだよ~、ママン。
グレンゼブルも何度行っても尻尾が切れないよ~、ママン。

採取装備

こんにちわ、
防具はやっぱり見た目が大事だと思うJUBIAです。
皆さん、採取クエには何を着て行ってるのでしょうか?
私は、つい先日までレザーでした。
広場を駆け抜ける時には、恥ずかしい思いで胸が1cup膨張したものです。
ですがっ!
今日からの採取装備は違います。
生産・強化しやすい素材で、ゴージャス感溢れ、尚且つ「あっ、コイツ採取か?」と気付かれにくい素敵ファッション。
ザザミUです。
運搬作業もバッチシです。
なるべく統一感を出したかったので、一式装備に珠6個で完成です。
ザザミUキャップ LV4
ザザミUメイル LV6
ザザミUアーム LV7
ザザミUフォールド LV7
ザザミUグリーブ LV5
万手珠×4、速手珠×2
あとは笛背負って、スタミナ減少無効を吹くだけ。
上記レベルでスロット9個空くので、余り3個はお好きにどうぞ。
頭をヘルムにすると、後頭部から二本の触手が伸びるので、すぐにザザミと気付かれますが、キャップだと意外と何の防具か分かりにくいかもです(‘∀’●)

試されし道 ◇結の頃◇

兄は家に戻ると、琥珀色のハイチェストの上に大切に飾られている双剣に向かった。
「マリー、もうすぐアイツがお前の所へ行くよ。ちょっと癖があるけど…根はいいヤツだから宜しく頼むよ」
剣の矛先に大きく口を開けた向日葵のような装飾が付いているその双剣は、妹の愛剣クックカッターだった。
兄はその双剣をしばらく見つめ、クックの顔に触れようとした時、遠い日の妹の笑顔が重なった。
「お兄ちゃん、今日は何を狩りに行こっか?」

試されし道 ◇闘の頃◇

この日も、兄はいつものように研究室で新規商品の開発と、既存商品の改良と両方の仕事に追われていた。
突然、研究室の扉が勢い良く開かれバタバタと騒がしい足音が、顕微鏡を覗く兄の背後に近づいて来た。
妹にしては珍しく一言も騒がないんだなと思い「今度はどうだった?」とゆっくり振り返る。
そこには妹ではなく、同僚の眼鏡男が立っていた。
が、いつもの冷静な姿からは想像も付かない程、ハァハァと息を切らし、言いたい事が声として出ない程に取り乱していた。
「なっ?!どうした?何かあったのか?」
勢い良く立ち上がったせいで、座っていた椅子が倒れた。
眼鏡男は、兄を目の前にして何か言葉を選んでいるようだったが、意を決した眼鏡男は深く深呼吸をした。
「い、いいか、よく聞いてくれっ。君の妹は今日、デュラガウアの依頼を受けたようだ」
「ほ、本当なのか?そうか…」
もはや決まっている結果を聞くまでも無く、兄は複雑な思いに深い溜息を吐きながら床へ視線を落とした。
「続きがまだある」
(?!)
「撃退はしたものの、君の妹はその場で命を落としたそうだ」
(…撃退…撃退した…撃退した……その後、何て言った?は、ははっ、何て言ったのか聞こえなかったよ…)
兄は焦点が定まらない目で床を見つめたままだった。
「おいっ!気をしっかり持つんだ」
眼鏡男が兄の両肩を激しく揺さ振る。
「…ははっ、妹が何だって?ちょっと掠り傷ができただけなんだろう?なあ?!そうだろう?!そうだと言ってくれよーーーっ!!」
兄は叫びながら床へと崩れ落ちていった。
妹の葬儀を終え、数日が経ち少しの平静を取り戻した兄は、妹が亡くなった時の様子を同僚の眼鏡男へ尋ねた。
眼鏡男が聞き得た話では、あの日、妹は一人で依頼を受注した事、そしてそれに妹を慕う後輩達三人組がこっそり付いて行った事、後輩達が高台からこっそりと様子を伺うと、最初、妹とデュラガウアは何やら話をしていた事、やがて闘いが始まったが妹が優勢だったこと、その闘いぶりに魅入ってしまった後輩達の内一人がギアノスに襲われ、闘いの場へと落ちた事だった。
それ以上は、眼鏡男がいくら後輩達に詰め寄っても、余程怖い思いをしたのか、後輩達は皆口をつぐんでしまい分からずじまいだった。
「後輩達からはかなり慕われていたようだったよ。恐らく妹さんは後輩達を庇ったんじゃないだろうか」
何故、妹は一人でアイツの所へ行ったのか?
そして何を話していたのか?
兄は浮かび上がる疑問を確かめるべく、もう二度と会うはずのなかったデュラガウアのいる塔へ向かう事を決意した。
『妹の仇でも討ちに来たか?』
久々に会ったデュラガウアの第一声に、兄は一瞬口をギュッと結んだがすぐにそれを解いた。
デュラガウアは、口調こそ以前と何ら変わりはなかったが、その体は妹が残していったのか、角は折れ、爪は削られ、尾は裂け、あちらこちらに焼けただれた傷が無数あり、見るに耐えない姿だった。
「いや、違うんだ。少し聞きたい事があって…ここに来たんだ」
『ほほう、また“道”にでも迷うたか?』
「いや、そうじゃない。妹は一人でここに来たそうだな?一体何の話をしたんだ?」
兄は、疑問をデュラガウアにぶつけた。
『それぞれの道が違うように、意もまたそれぞれというところだ』
デュラガウアは、けだるそうに横たわっていた体を起こし、兄の正面を向いた。
以前の道に迷う兄とは違い、そこには選択した道を突き進む男の顔があった。
『まあ、いいだろう。ヌシの妹の意とやらを教えてやろう』
デュラガウアは、あの日の出来事を語りだした。
あの恐怖に怯えた面影はどこにも無く、ある種の決意を目に宿した妹がデュラガウアの元へ単身で現れた。
「今日はあなたを討伐しに来ました」
『ほほう、こちらとしては感謝されこそすれ、敵意を向けられる覚えは無いのだがな』
「…確かに兄はあなたに感謝してると思います。でも私は違うっ!!」
妹はあの時、気を失っていたのはほんの一時で、兄とデュラガウアの会話を聞いていたのだった。
「私は、頭が良くていつでも優しく、何でも教えてくれた兄を尊敬し、少しでも足手纏いにならないよう、自分なりに頑張ってきた。でも、そんな自分が兄を傷つけていたなんて知らなかった…兄に疎まれる程に…」
妹は言葉を詰まらせたが、小さく息を吸い込むと話を続けた。
「兄はあの日から剣を降ろして違う道へ進んだ。でも私にはこの剣しか道がなかった…。いつか誰かがあなたを討伐しなくてはならない日がくるのも分かっていた。そしてあなたを私が…兄がくれたこの剣で討伐することで、やっと私は兄に認めてもらえることになる」
『ほほう、こちらはヌシの意の矛先になったわけだ。それにしては随分と来るのが遅かったようだがな』
「私はこの剣を極限まで強化したらあなたの元へ行こうと決めていた。それが私の決めた道!!」
妹は剣を背中の鞘から取出し、構えた。
妹が握るその剣は、確かにあの時の剣だった。
『では、こちらとしても全力でいかせてもらおう』
「そうしてもらえると私も助かります」
妹はデュラガウアに飛び掛かった。
闘いは互角だった。
が、徐々にデュラガウアの方が劣勢を強いられていた。
『くっ、小娘がっ!!』
デュラガウアは耳をつんざくような大きな咆哮をあげると、体を氷点下までに温度を下げ、その体は霜で覆われ全身が白く変化した。
それでもデュラガウアの劣勢は逆転しなかった。
デュラガウアは、自分の息が荒くなるのを感じていた。
(あの小娘もここまで成長を遂げたか…)
とその時、上から誰かが落ちてきた。
デュラガウアは最初、妹の仲間が援護に駆け付けたのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
妹が慌ててソレに走り急ぎ、邪魔にならない所でじっとしてろと言う。
邪魔が入ったものの、闘いは続行された。
強靱な前脚で繰り出される攻撃を妹はくるりと回避すると、デュラガウアの隙を見付けては切り付ける。
このままではおのずと勝敗は目に見えていた
デュラガウアの視界に、上から落ちてきた未熟なハンターである後輩の姿が入ってきた。
ここは一度妹の気を逸らして態勢を立て直そうとしたデュラガウアは、その後輩へと攻撃をしかけた。
妹は後輩を庇いに急ぐが、攻撃を防ぐ為の盾等持ち合わせてなく、その双剣ではデュラガウアの攻撃を防ぐ事はできなかった。
後輩の代わりに傷を負った妹。
『せめてその剣がヌシの兄のような大剣だったらな』
今までの妹は、守りを捨て、攻撃のみに集中してきた。
が、今この状況で後輩を庇いながら闘うのは正直分が悪いのも分かっていた。
「くっ!!私はそういう主義じゃないのっ」
無理に作った笑顔も傷の深さに少し歪む。
妹は、後ろで歯をガチガチと震わせる後輩をちらっと見ると「大丈夫、すぐ終わるから」と声を掛け、すぐにデュラガウアの方へと向き合った。
この立ち位置では、デュラガウアの攻撃を避けると後ろの後輩へその攻撃が当たってしまう。
かと言って左右に誘導しようにも、誘導に乗ってこなかったら意味も無い。
一気に追い詰められた妹は、一か八か、攻撃を避けずに正面からデュラガウアへと向かった。
切り掛かる妹、同時に攻撃をしかけるデュラガウア。
妹の剣とデュラガウアの前脚、リーチの差によって妹はその場に倒れた。
『その剣で後悔したであろう?』
「…いいえ、私は後悔なんてしない…この剣は…私そのもの…だ…か…ら……」
妹は目を閉じた。
その最後の笑顔は、痛みや後悔では歪んでいなかった。
『ふん…興が冷めた』
デュラガウアはその場から去っていった。
『…こんなところだ』
黙って話を聞いていた兄は、降ろしていた両腕の握り締めた拳は小刻みに震え、その目からはポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちていた。
『よそ者に仕掛けたこちらも正当ではなかったが、如何せん我が身も大事でな』
「…いや、いいんだ、…オレは…オレも自分の事で精一杯で、マリーの気持ちなんて考えた事も無かったんだ。今ここで、…遅かったけどマリーの気持ちがやっと分かって良かったと思ってる」
『…そうか、それはこちらの荷も少しは軽くというものだな』
しばらくの静寂があった。
『では少し一人にしてもらえると有り難いのだが…何、少々眠りを取りたいのでな』
「…あ、ああ、分かったよ…もうお前の邪魔はしないさ」
兄は「おやすみ」と、最後の挨拶をして帰って行った。

試されし道 ◇道の頃◇

あれから数年が経った。
兄はギルドの開発部で、支給品等のアイテム開発に勤しんでいる。
あの日、兄は背中から大剣を降ろした。
ギルドで働き始めた当時は、出版部で図鑑や地図等の書物類を発行・編集・整備する仕事だった。
もちろん、意図的に地図へ記載しない場所についても上司と激しく討論したが、ギルド側の意見に少々不満を残しながらも納得せざるを得なかった。
「えっと、アルビノエキスはこれぐらいで…」
今日も研究室に閉じこもり、新商品の配合実験をしていた。
すると、勢い良く研究室の扉が開く。
「お兄ちゃん!!ちょっとどうなってんの?!あの爆雷針・改、置く前にバチバチくるんですけどっ?!」
兄が顔を上げると、そこには怒り心頭の少々焦げかかった妹の姿があった。
妹はいつも、兄の研究の実験体いや、協力をしていたのだった。
「使い方を説明しようとしたら、ろくに聞かずにここを飛び出して行ったじゃないか。アレの使い方は…」
「もう分かってるわよ、三つ目使う頃には理解しましたっ」
さすが我が妹というところか。
兄はぷっと吹き出すと、プンプンしていた妹もつられて笑った。
爆雷針・改の改良について、兄妹はああだこうだと議論をしていると、研究室の扉が静かに開いた。
知的な雰囲気を醸し出す、いかにも研究員風の眼鏡をかけた男が一人、研究室に入ってきた。
「おや、これはこれはマリー殿ではありませんか」
「あっ、こ、こんにちわっ」
「うーむ、ここは一般人立入禁止なんですがね?」
「むっ、私は一般人じゃありませんっ!こちらのご立派な研究の実験体ですっ!!」
「くっくっ、そうでしたね。おや?何かこう芳ばしいこんがり肉のような香りが漂ってますね」
眼鏡の男は、妹の傍をくんくんと何やら匂いを嗅ぐ仕草をしてみせる。
妹はこの男が苦手だった。
多少の嫌味口調も然ることながら、理解不能な専門用語を並べ立てて会話しようとするので、なるべくこの男とは関わり合わないようにしていた。
「むうっ、じゃ、お兄ちゃん、改良終わったら教えてっ。私は次の依頼で残りの爆雷針・改使ってくるから」
「ああ」
兄は軽く右手を上げて妹を見送りながら、改良案が思いついたのか、何やらブツブツ言いながらノートに配合式を書き急ぐ。
「ははっ、頼もしいですねぇ。次はコゲ肉と化さない様にお願いしますよ」
「次は生肉で帰還しますので、ご心配には及びませんっ!」
妹は男に嫌味を込めて敬礼すると、勢い良く研究室を飛び出して行った。
「くくっ、日に日に君の妹君は逞しくなっていくな」
ペンの走りを少し緩めた兄は微笑んだ。
「うん、我が妹ながらオレもそう思うよ」
妹は心強い仲間達にも恵まれ、受注する依頼はどんな悪条件でも全てソツ無くこなす上、今では妹達パーティーの狩りの腕前が、ギルド内でも少し有名になってきているのが兄にとっては、とても誇らしかった。
「しかし、妹君はいつ見ても双剣を背負ってるけど、他の武器は使わない主義なのかい?」
「うん、前にオレも同じ事を聞いたんだけど、他の武器は性に合わないらしく、使い慣れた双剣の方が動き易いって言われたよ」
そう話す兄の顔は、なんだか少し照れ臭そうだった。
「うん?何だ何だ?その顔は~?」
兄は、昔にハンター祝いとしてプレゼントした双剣を、今でも大事に強化し続けて使ってくれている事が何よりも一番嬉しかった。
「…ところで、妹君はいまだ例の依頼を受けてないのかい?」
眼鏡男は、真顔で兄へ問いを投げかけた。
「ん?あ、あぁ、デュラガウアか…まだ…みたいなんだ」
眼鏡男は、今の兄にとっては同僚であると共に、唯一、腹を割って話せる親友とも言える関係にいた。
そして、数年前の出来事や、あれから妹がデュラガウアの話を一切しない事、ましてやデュラガウアの依頼を意図的に避けているように思える事を兄は眼鏡男へ打ち明けていたのだった。
今、兄がこうして充実した日々を送っていられるのも、あの日、デュラガウアと出逢ったのが大きな分岐点になっている。
兄にしてみれば、デュラガウアに対しては感謝の意でいっぱいだった。
だが、妹はどうだろうか?
一太刀入れるどころか、何も出来なかった事を今でも悔やんでいるのだろうか?
しかし、今の妹、いや、妹達のパーティーならデュラガウアに挑んでも互角か若しくはそれ以上に闘えるはずだ。
なぜなんだ?
「ま、時が来ればその内デュラガウアの依頼を受けるさ。今はまだ何か思うところがあるんだろう、君のマリー殿は」
眼鏡男の声でふっと我に返った兄は一言「そうだな」とだけ言い放った。
デュラガウアの依頼は受注される事はあっても、皆ことごとく失敗に終わり、いまだかつて討伐されていない。
心のどこかで、正直ホッとする思いと、いずれ討伐されるならばせめて妹以外の手で、と複雑な思いが交差した。

試されし道 ◇伽の頃◇

『この世界に生きとし生ける者は、皆、それぞれ得手不得手があると云う』
デュラガウアは、ある昔話を話し始めた。
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ある所に色々な種類のモンスター達が集まった。
目指す終着点はただ一つ、日暮れまでにそこへ向かって競争しようという事になった。
但し、そこに辿り着く迄の道筋は、それぞれ弊害があるものの自由に道を選択できる。
泳ぎが達者なガノトトスは滝のある川を進み、持久力に自信があるゲリョスは距離が遠くとも平坦な道を進み、力が自慢のラージャンは距離が短いが道のあちこちに大きな岩が塞いでいる道を進み、飛行能力に長けたリオレウスは激しい向い風が吹く空へと進んだ。
其々が各々の得手を理解し、其々が道を選択し、そして皆一斉に進み始めた。
やがて、途中で他の道の方が楽そうだと道を変えたが迫り来る弊害に対処できなかった者や、己の得手を履き違えた者、道を選択できずに進む事さえできない者、途中で道に迷い始める者達は皆、脱落していった。
日が暮れる頃、終着点にボロ雑巾のような姿になった最後の一匹が辿り着くと、迎え出た皆もまたボロ雑巾のように体中がボロボロだった。
そして、到着した順位等は関係なく皆互いに称えあったという。
賞賛に値したのは、自分達で決めた目標地点までに費やした時間ではなく、到着する事そのものにあった。
自らの得手不得手を理解した上で、自らが突き進んだ道を信じて進み続ける。
結果としていくら時間がかかってたとしても。
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『所詮、昔話だ。こちらには“不得手”というモノは生憎と存在しないがな。万が一、“不得手”が存在するとすれば…』
デュラガウアは、妹とその手に握られている剣をちらりと見た。
『ふふん、まぁよい。時として、ヌシの前には幾本の道が見えるのやら』
沈黙を守ったままデュラガウアの話を聞いていた兄は、静かに言葉を発した。
「オレには…いや、オレはまだそのスタート地点にも到達してないさ」
『剣を握る者やら、剣を握る者を支援する者、まぁヌシに相応しい“道”がその内見付かるといいがな』
デュラガウアは笑っているのだろうか、無数の鋭い歯が剥き出しで凶暴極まりないその風貌は、お世辞にも長時間凝視していられる姿ではなかった。
兄は色々な思いが交差するが、今ここで考えても仕方が無いと思い、取り敢えずは妹の手当が先だとデュラガウアに帰る道を尋ねた。
『さあな。恨むなら整備不備なギルドを恨む事だな』
「そっか…」
兄はふっと溜息を吐くと、妹をそっと抱きかかえる。
そして自分のポーチからモドリ玉を取り出した。
「…たぶんオレとはもう二度と会う事は無いと思うが、万が一この先…妹がここに来た時にはお手柔らかに頼むよ」
『ふん、二度目は無いと言ったはずだ。こちらも全力でいかせてもらう』
兄はモドリ玉を勢い良く地面へ投げ付けた。

試されし道 ◇意の頃◇

『及第点だな』
妹と二人、幸せだった日々の映像がプツンと途切れた。
兄は徐々に目を開け、ゆっくりとデュラガウアの顔を見た。
「…い、今何て…?!」
『及第点だと言ったのだ、二度同じ事を言わせるな』
「な、何なんだよ一体?」
『何、単なる気紛れだ』
「…気紛れ…って…、気紛れで妹を襲ったのか?!」
『急所は外したつもりだがな』
「二度目にはオレごと…直撃だったんだぞ?」
『二度手を緩める気は無いのでな』
「い、一体オレ達が何をしたって言うんだよ?!」
『…ヌシの意とやらを確かめたくなってな』
「オレの?…今までオマエになんて会った事もないのにか?!何が気持ちを確かめるだよ?オレの何を知ってるって言うんだよ!!」
兄は、今のデュラガウアに敵意が無い事が分かったが、妹が気を失う程のこの状況、ましてや、自分の心の奥にあるモノを見透かされたような気がして、剣を握る手に力が入る。
『くくっ、こちらは随分と前からヌシ等兄妹を知っているがな』
デュラガウアは、今いるこの場所を休息の場として以前から使用していた事、兄妹達が塔で仲睦まじく狩りを楽しんでいるのをこの場所から感じ取っていた事、ギルドが設置した岩を壊した事を説明した。
「ギルドが設置?…ギルドはこの場所の事を知っていたのか?」
『ああ、ヌシ等ハンターには知らせてなかったのか。でもまぁ、あの岩があったお陰で、こちらとしても小煩いハンターやら雑魚やらが現れなくて大層静かに休息する事ができたのだ。まぁなんだ、岩を壊した後に妹だけじゃなく、ギアノスのコワッパまで落ちてくるとはな』
くっくと笑うデュラガウアを余所に兄は、ギルドがこの場所を知っていながら地図に記載せず、寧ろこの先には何も無いと思わせるかのように岩で塞いでいた事を不信に思ったが、それは後回しにした。
『…小娘の方は、少々無鉄砲な所はあるが、狩りの腕が格段と上達してきたようだな。一方、ヌシは観察力や分析力は優れたモノを持っているようだが…』
「っ?!それ以上言うな!…それ以上は…自分でも…分かってる…」
デュラガウアの話す内容が図星だっただけに、これ以上惨めにはなりたくなかった。
兄と同期の連中は、とっくに上位クラスの依頼を受ける立場まで昇りつめている。
ましてや妹にまでも追い越されそうな勢いだ。
兄はちらっと背中にもたれかかっている妹の様子を伺う。
まだ気を失っている事を確かめると、デュラガウアへと向き合う。
「確かにオレは…妹を疎ましいと思った。同期だけでなく、妹にまで置いて行かれる気がしてならなかったんだ」
兄は緊張した肩を落とし、剣を握る手を少し緩めた。
「いや、違うんだ、・・妹達は何も悪くない。・・オレが勝手に妹達を妬んでいるだけなんだ。たった一人の妹を妬むだなんて・・」
兄は、相反する二つの思いに苦悩の表情を見せた。
『その剣は、ヌシにとって荷が重すぎるのやもしれぬな』
(?!)
緩めたはずの大剣を握るその手に思わず力が入る。
「オレにハンターを辞めろと言うのか?!」
ハンターになって三年、今更生き方を変えるだなんてそんな事はただの一度も考えた事が無かった。
「オ、オレは…今まで真面目にハンターの仕事をこなしてきたし、同期の連中のように腕の方はまだまだだけど、それなりにやってきたんだ」
『くっ、それなり…な。ヌシの言う“それなり”がヌシの限界か?』
兄はぐっと口をつぐみ、何も言葉が出なかった。