とある辺境の自然豊かな村。
一人の少年の声が聴こえる。
「それじゃあ、行ってくるよ。」
そう言うと少年はバタンと戸を閉めた。
誰に、かけるわけでもない言葉。
戸を閉められた音が寂しく響くその家には
誰もいなかった。
少し前には、この家には家族が住んでいた。
父と。母と。姉と。弟。
暖かな家族が住んでいた。
父は、家族が生活出来るだけの恵みを得に狩りに出かけ、
母は、狩場から少し離れた場所でキノコや薬草等の採取を。
自然から、必要以上に欲せず生きるだけの分の糧を分けてもらう。
生きる糧、村を守る以外に無益な狩猟はしない。
父や母は普遍の教えを受け継ぎ、変わらぬ生活を守っていた。
弟は、武器の扱いが人よりも上手ではなく、
訓練場に通う幼き狩人たちの中でも、飛びぬけて狩りが下手であった。
この村では男の子は年齢が十くらいになると武器を持ち、剣士になる為の
訓練を受けに訓練場に足を運ぶ事が決まりであった。
片手剣と呼ばれるハンターナイフを誕生日に父親から渡され
次の日から訓練場に通う。
教官と呼ばれる髭を生やした男から様々な武器の使い方を学び
自分にあった武器を見つけ習得していく。
2年から3年ほどの訓練を終えた若き狩人達は、
そこで初めて、狩場に向かい親の狩猟を手伝いながら、
いずれは、一人立ちしていく。
村をモンスターから守る為に村に残る者をいれば、
活動拠点を街に移す者もいる。
海を渡る者もいれば、
傷を負い、狩りが出来なくなり村に帰ってくる者もいる。
命を落とす事もある狩りだから、皆、真剣に自分の道を決める。
そんな中、弟は訓練場に通い始めて5年が経っていた。
まわりの同い年の子は、皆、狩場に出ており
弟だけが、いまだに訓練場に通っていた。
村人の手によって捕獲され訓練場に連れて来られたドスランポスを相手に
強化したハンターナイフ改を手に狩猟していく。
命に危険が及ぶと判断されると傍らで見守る教官が助けに入るが、
基本的には、1人で立ち回り、狩猟できるようになる事が目標となる。
協力訓練は4人で行うが、これは、より実戦に近い訓練となり、
弟は、まだその段階に達してはいない。
今まで1度だけドスランポスを狩猟する事が出来た程度だった。
そんな弟を父は、別段怒ったりはしない。
「おまえが、いつか狩場に出たければ出ればいいし、
出たくなければ、出なければいい。
ただ、母さんの手伝いは忘れるな。」
と、いつも決まった事しか言わなかった。
姉は、歳が6つ離れた弟の事をいつも心配し、自分が弓の扱いに長けていた事もあり
弟が剣士として訓練するのではなく、ガンナーになる事を勧めていた。
姉も、たまに父の狩りに付いて行く事はあれど、
そのモンスターの大きさや、しばらく耳が聞こえなくなるほどの咆哮に足がすくんでしまう為、
弓でサポート役に徹する事がほとんどであった。
◆◆◆
どこからか、小鳥のさえずりが聴こえる。
「行くか。」
そう、呟いたように父は母に語りかけた。
ある日の早朝。
いつものように、父と母は狩場に向かう。
そんな朝の一幕だ。
「今日は砂漠に向かうから、援護にアクアを連れて行く。
起きているか?」
と母に問うと、
「とっくに起きています。」と姉
どうやら、姉の名はアクアのようだ。
奥の部屋から出てきた、その体には防具を付けている。
背中には弓を背負っていた。
三部屋程の、この家は家族がくつろぐ居間と
父と母の寝室。そして、弟と姉の寝室。
居間で支度していた父と母の物音で目覚め、姉は既に支度を始めていたのだった。
「支度まで出来ているみたいですよ」と微笑みながら
父に答えると、
「そのようだな」とぶっきらぼうに言いながら
父は身の丈はあろうかと思われる大きな剣を背中に背負った。
大剣と呼ばれるその武器は、大きな事が特徴で
中でも彼が持つ炎剣リオレウスは、火の力を帯びていて
村の中でも1、2を争う程の良い大剣を、父は所持していた。
「昔の話だ。」と彼は言う。
若いころに、火竜リオレウスを死ぬ思いで数匹狩猟し
やっと作成したのが、この炎剣リオレウスというわけだ。
「母さんとは、そのころパーティを組んでいてな。」
ある時、父は娘に昔話を話した事があり、
その話によると、母親と父親は同じパーティで狩猟を行い、
母親は弓で大剣を扱う父親を援護していたという。
「おまえの弓の上手さは、母親譲りだよ」
と、滅多に表情を変えない父親が、その時ばかりは表情を
和らげていたそうだ。
「まだ寝ているのか?」
少し、あたりを見回して母に聞く父。
「寝ているわね、起こしましょうか?」
と母。
「いや、いい。
訓練場に行く時間には、まだ早いしな。
寝かしておけ。」
バタン。
戸が閉まる音が家に響く。
3人は、おもむろに家をあとにした。
弟はまだ、夢の中だった。
◆◆◆
「おーい タルタロス」
どうやら、父の事を呼んでいるようだ。
「砂漠に行くなら赤いモノブロスに気をつけろよー」
この赤いモノブロス。
最近、村を騒がせている正体不明のモンスターの事だ。
モノブロスは普通は薄い土色をしている。
稀に白い亜種と遭遇するハンターもいるが、
赤いものは存在しない。とされてきた。
が、ここにきて目撃するハンターが後をたたない。
しかし、今までも、このような事例はあった。
イァンクックの亜種だとばかり思われていたイァンガルルガや
黒いモノブロスだと言われていたが、よく見ると角が2本あり
ディアブロスの亜種である事が判明したりと。
最初に見る者は初めて見る恐怖により、
様々に誤認し、それを人に伝え情報が錯乱する。
今回の件も
樹海で最近みつかったエスピナス亜種が
砂漠にも適応しているのではないか。という人もいれば、
白いモノブロスを夕方に見て夕焼けで赤く染まってみえたのでは?
という人もいる。
故に、この話題にことかかないモンスターの存在は
この時点では、まだ、恐れるような要因がなにひとつなかったのだ。
「ああ」
いつものように、ぶっきらぼうに左手をあげ、
注意を呼びかける男に、そう答える。
タルタロスと呼ばれるこの男はいつもそうだった。
3人の姿は砂漠に向かい村の門を越えていった。
牙獣種
……
嫌いです………
大嫌いです……
夢
僕には夢があります。
それは大好きなモノブロスを、パーティーで狩る事です。
モノブロスはココット村の英雄の条件でもある、
ストーリーに最も関係してくるモンスターです。
(モンハンはストーリーは、あまり無いんですけどね。。。)
僕の中では、ストーリー要素が最も強いの(ストーリーに絡んでくるのは)は
・モノブロス(G):「俺が見たのは白い」等、亜種情報まで会話に出てきて、ヒーローブレイド。
・ナバルデウス(tri):村自体がナバルデウスの災害に苦しんでいる 南蛮刀入手。
かなと。
オフライン専用モンスターだからこそのストーリーの絡み方をしていますね。
dosは最後までやってないので、わかりません。すいません。
その、勇気を示すモノブロス。
へたれでいいので、皆と戦ってみたいです。
・・・ディアブロスと一緒じゃん。違います(笑)
称号 「一角」と呼ばれるその日まで、
僕とモノブロスの戦いは続くのです。
。。。まだ、狩猟数3匹くらいですが、何か?(笑)
えすぴなす
こんにちは、トシヤです。
この間、エスピナス希少種に行って参りました。
そして、逝ってしまいました。
。。。
おっと、あやうく終わるとこでしたw
あの子の強さは、何でしょう。
燃えました。
毒りました。
墜ちました。
まぁ、ひとつだけ言える事は、樹海頭頂部のスタートエリアは
アリエッティの世界みたいです。
で?w てのは無しでお願いしたいです。
ブラック3兄弟
こんにちわ、
マイコーのブラック&ホワイトは名曲だと思うJUBIAです。
本日は、苦手なモンスター達について冷やかに語りたいと思います。
Fではまだ見ぬモンスターもいますが、今の所、私の中のブラック3は下記の通りです。
・ヴォルガノス
・エスピナス(ノーマル種)
・ミラボレアス
自分の苦手な部分を克服するべく、分析した結果、彼らにはある共通点がある事が判明致しました。
・ヴォル→追尾型超粘着這いずり
・エスピ→追尾型超音速突進三連発
・ミラボ→追尾型超低空飛行爆撃
えぇ、どれも追尾型です。
追尾モード搭載の最新鋭モンスター型ロボットなのでしょうか?
それとも、単に私の逃げ惑う背中が彼らにとって、ヨダレが出る程魅力的に映っているだけなのでしょうか?
どちらにせよ、克服するしかありません。
えぇ、彼らの素材もまた必要なのです(キリッ
現在70ちょっとのHRも、100を迎える頃にはきっとブラック3もホワイト3に進化している事を願います。
JUBIAタイマー
こんにちわ、
ログイン中、トイレが長引くとログアウトされないかビクビクしながら籠もるJUBIAです。
本日は、前からふと思う事を書き記したいと思います。
一人でインする時は、大抵は自由区にいます。
サービス開始時より、よく広場内のあちこちで寝そべっている人や、端っこのテーブルにポツンと一人で座っている人を見掛けます。
とても、気になります。
落し物猫で広場を駆け巡ってる時や、武器屋を行ったり来たりしている時に、そういった方々をよく見掛けます。
とてもとても気になります。
寝そべっている人を見掛けると「この人、二日酔いなのかしら?」、ポツンと一人で座っている人を見掛けると「この人、何か悩み事でもあるのかしら?」と、そばを駆け抜ける時についチラ見してしまいます。
私は一時間に一度、カプコンタイマー発動前後に休憩しますが、私が席をはずす時はいつも、マイハウスへ移動してから席をはずします。
公衆の面前にポツンとキャラを放置したりなんてしません。
彼らは一体・・・・・・・・・・・・・謎です。
今まで二度程、長時間、席をはずし過ぎて強制ログアウトされた事がありました。
慌てて逆鱗の数などを確かめたものです。
問題はありませんでしたが、それ以降、離席時間には気を使ってます。
どこかでログアウト防止の設定があるのかもしれませんが、説明書的なモノは基本読まない性質なので暇があれば探してみるとします。
モスと僕の章 後編
『では逆に聞きますね?あなたは毎日何をして生きていますか?』
「何って…色々とだよ」
モスは、男が毎日のように樹海にやってきては別段何をするわけでもなく、ただ呆然と寝転がっているのを遠くから見ていた。
『あなたの食事は誰が用意しているのですか?』
「そんなの母さんに決まってるよ」
『あなたが生きていくのに必要なゼニーを稼いでいるのは誰ですか?』
「父さんだよ」
『もし、あなたの両親がいなくなったら、あなたはどうやって生きていきますか?』
(親がいなくなるなんて、今まで考えた事なんてないよ。…僕はどうやって生きていけばいいんだろう?)
男は黙り込んでしまった。
『あなたはあなたの出来る事をやればいいだけなのです。ここでは何もしない生き物はいません。仮に何もしない生き物がいたとしたら、その生き物は絶滅することでしょう』
遠くの山々へ赤く染まった夕日が沈みかけてきた。
『日が暮れてしまいますので、そろそろ私は住みかに帰りますね』
モスはそう告げると、くるりと男へ背中を向けて歩きだした。
「あっ、おいっ、…その、良かったら家で僕と一緒に暮らさないか?敵もいないから安全だし、茸だって毎日たらふく食わせてやるよっ」
モスはゆっくりと男へ振り返った。
『私の居場所はここであり、村の中ではありません。外敵もいれば茸が不作の時もありますが、私達はそういった事を乗り越えて今を生きています。それはこれからもずっと変わりません』
「…それじゃあ、明日また来るからここで会おうよ」
『私達には明日の保障がありませんのでお約束できませんが、運がよければまたどこかでお会いしましょう』
モスは男の返事を待たずに、二度と振り返る事なくゆっくりと草むらを歩いて行った。
男は、モスの小さな背中が見えなくなるまで静かに見守っていた。
モスの姿が見えなくなってからしばらくして男は家路へと歩きだした。
が、その足取りはひどく重く感じられた。
モスと話した内容を一語一句思い出しながら男は歩き続ける。
男の家が遠くに見えてきた頃、男の足取りは軽くなっていた。
家に到着した男は、玄関の前で深呼吸をし、勢い良く扉を開けた。
「ただいまーっ。母さん、僕明日から仕事探しに行くよ!!」
モスと僕の章 前編
生い茂った木々から木漏れ日が差す中、男が一人、草むらに寝転がっていた。
男はこの場所が余程気に入ってるようで、暇を見付けてはこの樹海へ足を踏み入れるのであった。
但し、今この男は暇を見付けるどころか、暇を持て余している次第だ。
何の仕事をしても長続きせず、嫌な事は全て人のせいにし、家族も皆呆れ果て、村人達からも相手にされないつまはじき者だ。
今日もいつものようにぼけーっと仰向けに寝転がり、真上に見える生い茂る木々を黙って見つめていた。
そこへ一匹のモスがやって来た。
どうやら、男の近くに生えている茸を食べにきたようだ。
男はゴロンと俯せに体勢を変え、両肘をつきながら茸を食べるモスをじっと見つめた。
(いつ見てもモスって、常に何か食ってるよなぁ~。
そんなに食ったら太るぞ。
あっ、こいつらは食われる為に沢山食って太らなきゃダメなのか。
しっかし、不細工だよな~。
頭のコブやら背中の苔やら、なんとも言えないよな~。)
『私達モスにとって、この姿に不便を感じた事は無いなのですよ』
「うわっ、なんで声に出してないのに分かるんだよっ?!」
『いかにも不憫そうな目付きでじっと見られたら、考えてる事ぐらい分かるのですよ』
「不便じゃないって、思いっきり不便そうじゃないか!空を自由に飛びたいとか思った事ないのか?」
『空を飛ぶ必要が無いから、翼はいらないのですよ』
「あ、足だって長けりゃ高い木に生えた茸をたらふく食べれるかもしれないだろ?」
『地面に生えている茸で十分なのですよ』
「その姿だってもっと可愛いければ、皆から可愛がられるかもしれないだろ?」
『あなたの言う“皆”とは、一体誰の事を言ってるのですか?』
「うっ…ウチの母さんとか…村長さんとか…む、村の皆だよっ!」
いつのまにか男は、俯せから起き上がり、あぐらをかいた。
『私達はペットではないのですよ?寧ろ村人達にとっては食料としか見ていないのです』
「うっ、だったら逆に食う側のランポスとかになりたいとか思わないのかっ?!」
『…ついこの前、ランポスに生まれたばかりの子供を食べられました』
「えっ?!…あ、ほ、ほらやっぱりアイツらの方が全然いいじゃないかっ」
『でも、それはここでは極自然の事なのです。私達はいくら食べられても、それ以上に子供を増やさなくてはいけないのです』
「なんかおかしいじゃんよ、自分の子供が食われたのに悔しくないのかよ?悲しくないのかよっ?!」
『私達には肉食獣に歯向かう牙や爪がありませんし、歯向かおうとも思いません。子を増やし続ける事がせめてもの抵抗なのです』
「…やっぱり嫌だよ、そんなの…うっ、食われた子供が可哀想だよ、ひくっ…」
いつのまにか男は、体育座りの状態で、抱えた膝へ涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔をうずめた。
これまで、口喧嘩では誰にも負けた事がなく、ましてや誰かに涙一つも見せた事の無い男だったが、自分ではどうしようもないくらいに涙が止まらなくなっていた。
『あなたが悲しむ必要はないのです。…もちろん、子を亡くした時には悲しみました。でも、いつまでも泣いていたら日が暮れてしまって、新しい住みかを探す事ができなくなってしまうのです。』
「………」
『私達モスにはモスとしての領分があり、それを超える事なくただ暮らしていければそれで満足なのです』
「………それでも…」
慢心
ガラガラガラガラッ
ドサッ
「いったーーいっ!!もうちょっと静かに降ろしてよー、こっちは怪我してんだかんねっ!」
狩りの途中、モンスターの攻撃をまとにくらって動けなくなった女ハンターは、荷車救急猫隊にキャンプ地へと運ばれたのだった。
ガラガラガラガラ…
女ハンターを乗せてきた荷車が帰っていく。
(まったくもうっ、髪がぐちゃぐちゃじゃないっ!何あのピンクゴリラ、アタシに向かって屁かますなんてっ!匂い取れたかなぁー?)
くんくんと自分の装備の匂いを確認する女ハンター。
すると視界に一匹の救急猫が何やらニヤニヤしながら立っていた。
「なっ、なんなのよアンタ!帰ったんじゃなかったの?」
『帰ったのは後輩ニャ』
「…で?アンタはそこで何してるワケ?」
女ハンターに質問された先輩猫は待ってましたとばかりに、
『キミに見せたいモノがあるのニャ』
「な、なんなのよっ?!」
女ハンターは身構えた。
(例え相手が猫だからって容赦しないんだからねっ)
先輩猫はコホンと一つ咳払いをすると、右腕をくの字に曲げ、何やらリキんでいる表情が伺える。
女ハンターは、先輩猫が何をしているのかが理解できずにいた。
「あの~っ、失礼ですが…何してんのアンタ?」
『あー、全然ダメニャ、見て分かんないかニャー、我ながらホレボレする素晴らしき筋肉だニャ』
よく見ると、先輩猫の力を込めているであろう右腕の二の腕部分にぽっこりと小さな山ができていた。
(それとアタシと何が関係してくるのよっ?)
女ハンターは、深い溜め息をついた。
『この五年間、一日も休まず、数多のハンターさん達を運んだおかげでこんなに筋肉が発達してしまったニャ。更にコレを活かすべく、来月にはロックラックへ筋肉留学することになったのニャ』
「…で?」
『それまでの一ヶ月間、後輩を立派な後継者になれるよう教育しなくてはいけないニャ』
「…はぁ」
『やはり教育実習は現場が一番ニャ』
「…左様で」
『実践でたたき込むには、未熟なハンターさんが必要ニャ』
「…なんか嫌な予感がするんですけどぉ~?」
『そこで白羽の矢をキミに決めたニャっ』
「あーやっぱり、そうなっちゃいますぅ~?」
先輩猫はアタシに、毎日最低でも5クエ(重たいクエは尚可)は回してもらわないと困る的な事を言ってきたけど、そんなのこっちも困るっつーの。
もう、アタシに死ねと言ってるよーなもんじゃない。
でもコイツ、なんだか面倒くさそうな性格してそーだから、適当に返事だけでもしとくか。
『筋肉入魂祭で優勝したアカツキには、キミもロックラックへハンター留学させてやるニャ、これから一ヶ月間やられっぱなしじゃハンターとして成長しないニャ』
あー、どこまで面倒臭い奴なのよ!!
そうこうしてる内に、クエスト達成のベルが鳴り響くのであった。
運命 後編
そう、キャラバンへ向かったはずの主人だった。
既に通り過ぎて行った荷車を追い掛けるべく来た道を引き返し、大声を張り上げて荷車を引いてるアイルー達を呼び止め、事情を聞く。
どうやら向かったキャラバンが満員で、仕方なく仲間達と森丘へリオレイアを狩りに行き事故に合ったらしく、残った仲間達はまだリオレイアを狩り続けているらしい。
あぁ、ダメ。
そのリオレイアは背中にいるこの子の母親なんだから。
しかし、危篤状態の主人も放ってはおけない。
苦渋の選択を強いられたが、とにかく今は荷車と共に病院へ向かう。
病院へたどり着いた頃、息も絶え絶えの主人が何かを言おうとしている。
口元に耳を近付けると、
「…た…卵…ぐっ」
そう言い残すと主人はそのまま息を引き取ってしまった。
卵が何だって言うの?
悲しみにくれるキエルであったが、その時、背中から雛の鳴き声が聞こえた。
そうだ、この子だけでも親元に返してあげないと。
涙で濡れた頬を拭い、急いで森丘を目指す。
急がなければ、狩り仲間達に討伐させられてしまう。
それはなんとしても阻止せねばならない。
森丘に辿り着き、双眼鏡でリオレイアを探す。
いた。
洞窟の上を旋回している。
洞窟へ急ぎ、中へ入ると地上に降りたリオレイアと、それを取り囲むかのように仲間達が武器を構えている。
待ってーーーーっ!!
大きく張り上げた声も虚しく、一人の武器から激しい爆炎がリオレイアに向かって放出された。
爆炎を受けたリオレイアは、その巨体をドンッと地面に倒れこんでしまった。
急いでリオレイアのそばに駆け寄り、顔の前に卵ケースから取り出した雛を差し出す。
リオレイアは、しばらく我が子を見つめた後、キエルを目線を移し、何かを訴えかけるように数度瞬きをし、そしてゆっくりとその瞼を閉じた。
その様子を見ていた仲間達の内、最年長であろう男がキエルに近づいてきた。
「…キエルさん、ご主人の敵は無事討ちました。して、ご主人の容態はどうですか?」
呆然と雛を抱えるキエルは、無機質にその男に目をやると、主人が息を引き取った事、この雛の事を全て話した。
すると、仲間達の中で一番小柄な男がウッウッと嗚咽を漏らした。
「すんませんっ!!全部俺のせいです!」
ゆっくりとその小柄な男へ顔を向ける。
男は泣きじゃくりながら、事の経緯をキエルへ話した。
仲間達は洞窟の中へ入り、リオレイアが現れるのを待っていた。
待っている間、主人が卵を見付けたらしく、今、親であるリオレイアを狩るのは止めようと言い出した。
しかし、小柄な男が血気盛んに、どうせいつかは狩るのだから今狩っても問題は無いと言いだし、足元の卵を蹴り出した。
蹴った衝撃で卵は割れたが、小柄な男は残った卵も割り出した。
それを止めようと主人が小柄な男を突き飛ばした時、リオレイアが洞窟の上空から降り立った。
主人の足元に散らばる卵の破片を見付けるや否やリオレイアは主人に突進した。
卵に気を取られていた主人は、振り返るのが一時遅すぎて突進を避ける間もなく勢い良く突き飛ばされ、洞窟の壁に全身を叩き打ち、そのまま下へ崩れ落ちていった。
全て聞き終えたキエルは、ふっ、主人らしいわねと笑みを浮かべた。
最年長の男が、キエルへ話し掛ける。
「その雛はどうするつもりですか?まさかキエルさん、育てるつもりではありませんよね?仮にも肉食ですし、成長したら…」
キエルは男へ向かって、皆まで言うなと手の平を見せた。
残された家族同士…なんて傷の舐め合いじゃないけど、この雛の運命は私達が今どうのと決め付けるのはどうかと思う。
このまま巣に置いて行けば、ランポス達の餌食になるのは目に見える。
自然の摂理と言えばそれまでかもしれないが、この状況を作り出したのは私の迂闊な行動のせいでもある。
かと言って、一生面倒を見れる訳でもない。
独り立ちできる迄は面倒を見るが、それからはこの子が自分の運命を決めるべきだ。
例え将来どこかのハンターに狩られるとしても…
とりあえず、この雛は持ち帰って子供とどうするか相談するわと男達に言い放ち、キエルはその場を後にした。
本当にこれでいいのだろうか?
とそこへ小柄な男が追い掛けて来た。
ハァハァと息を切らしながらもその男は、
「キエルさん、この先何か困った事があればなんでも協力しますんで、なんでも言って下さいっ!!」
キエルは笑みを浮かべ、
振り返らずに一言「ありがとう」と右腕を天高らかに振り上げた。