それいけ!ファンゴ君(5)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
やっとの思いでげどく草を手に入れ、九死に一生を得たボクは、まだフラつく足取りで草が生い茂るエリアへと出た。
草ぼーぼーだな。
ここならカクレンボとかできるんじゃないか?
まぁ、そんなガキの遊びは卒業したがなww
ボクは生い茂る草を掻き分け前へと進んだ。
ガサっ、ガササっ
ん?
何か大物の気配を感じるぞ。
辺りを見渡すが、そこには何もいなかった。
気のせいか・・・。
ガサっ、ガササっ
っ?!
やっぱり何かいるっ!
辺りをよーく目を凝らして見てみると、一見何も無いようなところに一瞬何かが見えた。
何かいるっ!!
しばらくすると、ソレは姿を現した。
淡い紫の皮膚、ギョロギョロとした目つきで、くるんと丸まった可愛らしい尻尾のモンスターだった。
またしばらくすると、その姿は消えてしまった。
カメレオンみたいなヤツだな。
ちょっと待てよ。
紫って、まさかコイツも毒吐くんじゃないだろうな?
さっきやっと毒が癒えたばかりだというのにまた毒かよっ!
ソイツはいきなり羽ばたきをして辺り一帯に紫色の旋風を巻き起こした。
やっぱり毒だ!!
ドクドク2号かよっ。
ボクはコイツをドクレオン、そう呼ぶことにした。
毒にはもう懲り懲りだったので、ボクはドクレオンを相手にせず、そのエリアをそっと離れることにした。
が、その時、羽音とともにまたドクリンがやってきた。
ピッキーンっ!!
こっ、これは、面白い展開になってきたぞ。
ドクリンvsドクレオンの戦いが見れるかもしれない。
ボクは草むらでじっとしながら、その世紀の毒マッチを今か今かと心待ちにした。
がしかし、一向に戦いは始まらなかった。
ドクリンもドクレオンも、互いを干渉しないかのように別方向へと歩き出した。
ちっ、なんだよっ!
これじゃ、面白くないんだよっ!
ピッキーンっ!!
いいこと思い付いた。
ボクがドクレオンにそっとチョッカイを出して、無理矢理ドクリンと戦わせればいいんだ!
ボクって天才ww
ボクはそっと音を立てないようにドクレオンへ近付き、尻へ牙を軽く一突きしてやった。
すると、ドクレオンは息も激しく怒りだした。
よしやったぞ!
あとは少し遠くへ避難すれば・・・。
ボクは静かに小走りした。
すると、ドクレオンはボクに気付いたようで、何か黄色っぽい液体をぶっかけてきた。
え?ええーっ?
小走りしていたボクは、途端に息切れをおこし、走れなくなってしまった。
ドクレオンはボクに対して猛烈に怒っている。
バ、バレたか・・・。
マ、マズイ。
這ってでもこの場をうまいこと逃げなくては、ドクレオンにやられてしまう。
ボクはトボトボと後ろを気にしながら精一杯歩き出した。
ドクレオンがボクを追ってきたっ!
もうダメだ!!
とその時、この騒ぎの元凶がボクだと気付いたドクリンが、あのバカっ走りでこちらに向かってきた。
ドーーーーーーォンっ!!
あろうことか、ドクリンはドクレオンにつまづいて転んだ。
アイツ、やっぱりバカだw
真性のバカだwww
ボクは、後ろの光景をニヨニヨしながらただひたすら歩いてその草むらエリアを脱出した。
洞窟の入口を見付けたボクは、その洞窟で一夜を明かし、体力スタミナともに回復することにした。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。