それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (37)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしていた。
ガブラスに連れ去られたボクは、高い崖の上にボトリと落とされた。
「おいっ!何するんだっ?!」
危うく脱糞しそうになったわ。
「あら?アナタ・・・生きてたの?」
ボクの元へとガブラスが降り立った。
「この通り、らんらん生きてまつけどっ?!これは一体どういう事なのか、分かるように説明してもらおうかっ?!」
「てっきり、死骸かと思ったわ。だって、アナタ、ピクリとも動いてなかったじゃない?」
あれは・・・ちょっとバテていただけで・・・もにょもにょ。
「アタクシは、ガブラス。ここでは皆、アタクシの事をレディー・ガブと呼んでいるわ」
レ・・・レディー・ガブだと?
君のしている事は、全くもってレディー(淑女)のする事ではないのだがなっ。
「アタクシは死肉が大好きなの。さぁ、今すぐお逝きなさいっ!」
こっ、こいつ・・・頭、湧いてんのかっ?!
「バカな冗談は、滅多に言うものではありませんよ?」
「何言ってるの?アタクシは大真面目よ?」
こいつ・・・真性だな。
「ボクは帰らせてもらうよっ」
「お待ちなさい!アタクシは一度狙いを定めたら気が変わらない限り諦めない、鋼の意志を持つ女よ!アナタが朽ち果てるまで、どこまでも追い続けるわよ」
おぅふ・・・なんという納豆臭い女なんだ。
そんなにしつこいと、モテないぞ?ww
「しかし、君・・・よくそんな細い脚で、この鋼鉄のようなボクを持ち運ぶ事ができたね?」
「アタクシは、このボディーを維持する為に、日夜、筋トレを欠かさないの。だからアナタのような無駄な贅肉は一切無いわよ」
無駄とはなんだっ、無駄とはっ?!
「でも、無駄な贅肉程、美味しいって言うけどね」
レディー・ガブはペロリと舌舐めずりをした。
「残念ながら、君のその期待に反してボクの身体は筋肉ばっていて、無駄な脂肪はちょぴっとしか無いぞっ?!」
この筋肉質なボディーを見て、ただの脂肪肉だと思ったのかっ?
まったくもって心外だ。
「あら、そうなの?意外ね」
「あっ・・・リノッチ!そうだっ、リノッチを探さないとっ!!」
ボクは崖の端まで走ると、崖下のあまりの高さに目が眩んだ。
「あ、あの・・・下まで運んでくれると助かりましゅ」
ここから飛び降りるには、あまりにも危険過ぎた。
頼みたくは無かったが、レディー・ガブに下まで運んでもらうしか手立ては無さそうだ。
「そうね・・・ブヒって鳴いてごらんなさいよ」
な、なにおぅっ?!
「ブヒって鳴いたら、下まで連れて行かなくもないわよ。さぁ、どうするの?鳴くの?鳴かないの?」
く・・・くっそ・・・ボクの短い足元を見やがってからに・・・。
・・・ブヒればいいんだろっ?ブヒれば・・・。
なんて屈辱不可避!
「ブっ・・・ブヒ・・・」
「聞こえないわね」
「(くっそ)・・・ブ・・・ブヒーーんっっ!!」
「一先ず合格ね。いい声で鳴くじゃない。それじゃ、下まで連れてったげるわ。もちろん、その後もアナタが屍になるまでどこまでも付いて行くけどね」
テッテレ~♪
ガブラスが仲間になった!
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。