それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (20)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしている。
原因不明の超モン的な戦闘能力を得たボクは、ゲネりんをよそに黒ゴマちゃん相手にサシの勝負をしていた。
本気を出した黒ゴマちゃんは、ブレス攻撃や、連続叩きつけの攻撃を繰り出した。
はははっ、どれもワンパなんだよっ!
この黒ゴマ野郎gっ!
本気を出しても、ボクに何一つ攻撃をヒットさせられない黒ゴマちゃんは、段々とイライラしてきたのか、その攻撃の一つ一つに乱れが生じてきた。
とは言っても、ボクも黒ゴマちゃんに対し、いまだ傷一つ付けられないでいる。
ボクへの突進も、軽い身のこなしのボクに避けられると、黒ゴマちゃんはバックジャンプをした。
が、バックしたその先のアミアミの天井に引っ掛かり、ボテっと地面へ落ちてしまった。
そして、それをみすみす逃すボクではなかった。
仰向けでもがもがしている黒ゴマちゃんの脳天に、ボクは無慈悲な超モン的超絶ハイパー頭突きスペシャルバージョンセカンドをかましてやった。
すると、ボクの鋼鉄まがいの牙が黒ゴマちゃんの生えたての触角に、ゴツンっと鈍い音を立ててぶつかった。
その衝撃で、黒ゴマちゃんの触角はポッキリと折れてしまうと、角と同時に心も折れたのか、黒ゴマちゃんはその場を飛び去って行った。
ぶははっ、おとといきやがれってんだっ、ちくしょーめっ!
「おいっ、君、大丈夫かいっ?」
慌ててゲネりんがアミアミから降りてきた。
あっ、ゲネりん・・・忘れてたっ。
大丈夫も何も、ゆゆう過ぎてメシウマれす。
あ・・・れ?
いつの間にか、ボクの身体を支配していたあの戦闘意欲が、今では微塵も感じられなかった。
あれは・・・いったい何だったんだっ?
「上から君とヤツの戦闘を見ていて思ったんだけど、たぶん・・・いや、常識的に見ても、アイツの黒い鱗粉が何らかのウイルスなんじゃないかと思うんだ」
「ウ・・・ウイー・・・ルスン?」
「実は、網の上の僕がいた場所にも、あの黒い鱗粉が舞っていて、息を止めていた僕もさすがに息苦しくなって思わず吸い込んでしまったんだけど、今度は何も変化が無かったから、もしかしたら僕には既に抗体のようなものが出来てたのかなって・・・」
「ほぉー」
なんだかよく分からないけど、君がそう思うんならきっとそうなんだろうね。
「でも、感染した僕と一緒にいた君には感染しなくて、でもヤツから君は直接感染した。そして、僕も君も、一度感染したら凶暴化して、一通り暴れたら完治するっていう、常識では考えられないなんとも摩訶不思議なウイルスなんだよ!でも、きっと一度完治したら抗体が出来て、二度と感染する事は無いと思うんだ!」
小難しい事をペラペラと、よく舌も噛まずに言えますな。
あ・・・っれ?
なんだか、体中の節々が痛いぞっ!
まるで全身筋肉痛のようだっ!!
「なんか・・・体中が筋肉痛のように痛いんでつけど?」
「もしかしたら、後遺症かもしれないね?」
「えっ?君にも後遺症あったのかいっ?」
「いや、僕には何も無かったよ。むしろ、完治した時は爽快な気分だったね」
どうしてボクだけなんだってばよっ?!
・・・そうか、一見、ボクの体は厚い脂肪に覆われているように見えるが、実はその全てが筋肉で出来てて、体脂肪はめちゃんこ低いんだ!
だから痩せっぽちのゲネりんは、なんともなかった・・・と。
まさに、ノー筋ノーライフだな。
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。