スピンオファンゴ君G

[ウロコトル編]
火山の頂上で、一頭のウロコトルが階下に広がる景色を眺めていた。
「親父が・・・生きていた・・・俺は何の為に今まで・・・」
生きていく目標を失ったウロコトルは、これから何を糧に生きていけばよいのかを考えていた。
「お兄ちゃん・・・?」
ふと、後ろから聞こえてきた声にウロコトルが振り返ると、そこには一頭の雌のウロコトルがこちらに向かって歩いてきた。
「あっ!やっぱりお兄ちゃんだわっ!」
(え・・・?兄?俺の事・・・か?)
「お兄ちゃん、生きていたのね?よかったぁ~。ずっと探してたのよ」
雌のウロコトルは、嬉しそうに目の前ではしゃいでいた。
そして、その雌のウロコトルの可愛さに、もしも妹でなければ完全に恋をしているところだったと、ウロコトルは内心思った。
「お・・・俺は・・・」
ウロコトルがもごもごしていると、妹と名乗る雌のウロコトルが、背後にいるウロコトル達へと声を張り上げた。
「みんなぁ~、お兄ちゃんいたわよ~っ!!」
すると、ぞろぞろとウロコトル達が集まってきた。
「わーい、お兄ちゃんだーっ!」
「僕達、ずっと探してたんだよーっ!」
「わーい、わーい、やっと見付かったねーっ!」
自分の回りではしゃぎまくるウロコトル達。
「おまえ達は・・・本当に・・・俺の兄弟・・・なのか?」
「何言ってるのよ?!自分の兄弟も忘れてしまったの?」
妹ウロコトルが半ば飽きれたように言った。
ブラキディオスに襲われたあの日から、妹達は生き残った兄弟達を必死に探していたと説明した。
「俺は・・・おまえ達を探すどころか・・・親の仇だと勘違いして・・・ヤツをずっと・・・追っていた」
「バカね~、あんなヤツに敵うワケないじゃない?!それよりも、やっとこうして生き残った兄弟達がみんな集まったんだから、昔みたいにワイワイやりましょ~!」
「あ・・・あぁ・・・」
ブルファンゴ・・・。
今、俺は・・・兄弟達と・・・再会・・・した。
憧れだった妹・・・も一緒だ・・・。
しかし・・・俺は・・・どう接していいのか・・・分からない。
教えてくれ・・・ブルファンゴ。
俺は・・・どうすればいい?
戻ってきてくれ・・・ブルファンゴ・・・。
ウロコトルは、遠い目で頂上から階下を見下ろした。