至高のフルコース

これまでの男性経験?
アナタも野暮な事を聞くのね。
まぁ、いいわ。
今まで、この私を満足させた殿方はほとんどいないけど、その中でも・・・そうね、印象的だった殿方について話してあげるわ。
まずはボルボロスね。
あの方は、泥臭くって泥臭くって、触れる度に泥が着いちゃうから、1日でこちらから丁重にお断りしてあげたわ。
次は、ガノトトスかしら。
あの方は、まさに水も滴るイイ男だったけど、一歩下がって歩くこの私の方に振り返る度に、私をなぎ倒していたわね。
いやゆるプチDVってやつかしら?
連れて歩くにはもってこいだけど、痣がいくつもできて3日目には軽い打撲になったわ。
次は、ハプルボッカかしら。
この私を大きく優しく包んでくれる、まさに頼りがいのある方だったけれど、あの巨体でしょ?
食欲が旺盛で、いつもデートで食事をする時には、私が食べ終わっても、更に1~2時間も食べ続けるから、その間ものすごく暇なのよね。
5日で飽きちゃったわ。
次は、ウラガンキン亜種かしら。
・・・もうね、体臭がひどのなんのって。
生理的に無理・・・というより、現実的に1分も一緒にいられない位ひどかったわ。
最後は、ギギネブラかしら。
あの方は、いつも天井から私を脅かしては、無邪気に笑うのよ。
いつまでも少年の心を持った方ね。
見た目はアレな感じだけど、いつも一緒にいて本当に楽しかったわ。
でも・・・彼にはちょっと変な癖があって・・・。
あっ、アナタにはまだ早い話だったかしら?
まぁいいわ、いずれアナタにも分かる時がくると思うから。
たまにね、そう、ごくたまになんだけれど、キスする時にね、彼・・・私を愛しすぎるせいか、吸いついてくるのよ・・・顔面全体を・・・。
その度に、私は呼吸できずにもがくのね。
それに気付いて、彼はすぐに離れてくれるんだけど・・・。
私、このままでいいのかな・・・って日々思うようになって、夜も眠れなくなったりしたわ。
彼も少しは悩んでいたみたいだったけれど、私達、真剣に話し合って少し距離を置こうということになったの。
それで、現在に至る・・・ってところかしら。
どう?
少しは参考になったかしら?
アナタもいずれ大人になって、恋愛経験を沢山詰んだら、今度は逆に私にその話をしてちょうだい。
え?
もっと聞きたい?
アナタも欲しがるわね。
今日は昔の思い出を振り返ったせいか、少し疲れちゃったみたい。
もう帰るわ。
話の続きは、また明日。
じゃぁね。
イビルジョーは、ドスドスといずこへと去って行った。
その場に残されたのは、鼻水を垂らしたズワロポスの子供一匹だった。