意外とウェルダン系

誰が見ても、俺は完全なる肉食系、ナルガクルガだ。
肉と言っても、レア・ミディアム・ウェルダン・・・と、焼き加減にも種類がある。
完全なる生肉は・・・ローと言うらしい。
俺達肉食系は、そのローとやらを主食にしている・・・と、皆そう思ってるだろ?
他の奴らはそうだろうが、この俺は違う!
そう、俺はウェルダンが好きだっ!!
確かに、若かりし頃の俺もローばかりを口にしていた。
あれは・・・そう、なまっちょろいひよっこハンターを返り討ちにしてやった時のことだ。
ハンターが落としていったポーチを漁ってみると、中にこんがり肉が入っていたんだ。
初めて嗅いだ、鼻腔をくすぐるなんとも香ばしい香り。
俺は迷わずそれに食い付いた。
・・・っっ!!
初めて食べたそのこんがり肉に、俺は今までに無い、神なる領域を味わった。
なんだこれはっ?!
端っこがカリっとなって、中がとってもジュースィーで、これは・・・実に美味いっ!
俺はいたく感銘を受けた。
おや?
まだ何か入っているぞ?
赤みが残る生焼け肉だ。
うん・・・まあ普通だな。
肉焼きに失敗したんだな。
さすが、ひよっこ!・・・とでも言っておこう。
おや?
更にまだ何か入っているぞ?
真っ黒に焦げたコゲ肉だ。
ひよっこにも程があるぞっ!!
これではまるで、ヴェリー・ウェルダンを通り越して、炭のようではないかっ!!
こんなことでは困るな。
あれから俺は、ロー(ケルビ達)狩りを止め、ハンター達を返り討ちにしてはそのポーチからこんがり肉を漁る日々を過ごした。
しかし、ある日、いつものようにハンターを返り討ちにした時、プロ級のハンターだったらしく、少々手こずりはしたが、いつものようにポーチを漁ると、こんがり肉が一つも入っていなかった!
こっ、コイツ・・・?!
こんなんで狩りが出来ると本気で思っているのかっ?
どうやってスタミナを回復しているのだっ?
おや?
何かビンが入っているぞ?
元気・・ドリンコ・・・?!
何々?・・・飲むとスタミナを回復するギルド公認のドリンク。眠気もスッキリ!・・・だと?
ふざけるなっ!!
こんなものを公認してもらっては困るではないかっ!!
ちょっと待てよ・・・。
今までのひよっこ連中は、決まってこんがり肉をたんまりと持参していた。
プロハンになると、それが元気ドリンコになる・・・という訳か?
となると・・・、そうかっ!!
ひよっこだけを狙えば良いんだな?
それなら話は早い。
その日から俺は、ひよ専となった。