白と黒の挽歌

俺は、凍土一のラッパーになる事を目標としている。
今日もゴキゲンだぜ、チェケラーッ♪
ヘッドホンを首からぶらさげたウルクススが、ヘッドホンから漏れるシャカシャカ音にノリノリで凍土を散歩していた。
すると、目の前で何やら黒くて小さい物体がうごめいている。
ワッツァーップ?
よく見ると、それは一匹のメラルーの子供のようだった。
「ミャーッ、ミャーッ!」
マジかよっ?
ブラックアンドスモール♪それはーメラルゥー♪
「どちたのかニァ~?お母さんはどこかニァ~?」
「ミャーッ、ミャーッ!」
小っちゃすぎて話が通じなーい♪
通じるようにおまじなーい♪
・・・・・・。
しょうがないな、母親を探してやるか。
ヘイヨー♪待ってなベイビー♪そんな俺はグルービー♪
「ミャーッ、ミャーッ!」
・・・・・・。
このままここに置いといたら、危ないか。
ウルクススが、子メラルーを拾い上げようとしたその瞬間、子メラルーはウルクススの足元へガブリとガブリついた。
おっと、これはびっくりー♪困るはしゃっくりー♪
よほど腹を空かせていたのか。
「それは豚足ではないのでちゅよ~、お嬢ちゃん」
ウルクススは、子メラルーを足元から離そうとしたが、子メラルーはガップリとガブリついて離れなかった。
それならそれで大丈夫ー♪お前と俺とでランデブー♪
ウルクススは、子メラルーが足元へガブリついた状態で歩き始めた。
犬歯が食い込むー♪ダンディな俺は我慢スルー♪
小さなダメージを食らいつつもウルクススは、子メラルーを払い落とさないように静かに歩み続ける。
すると、上空からバサバサとベリオロスが目の前に降りてきた。
「ちょっと!私の姪っ子をどこに連れていくつもりっ?!」
青天の霹靂ぃー♪俺の心は暗雲の霹靂ぃー♪
「姪っ子って・・・こいつ、メラルーの子供だったんじゃ・・・?」
「何言ってんのよ!どっからどう見てもナルガクルガの子供じゃないっ?!」
・・・・・・。
どうりで、このガブリ付き具合は只者ではないと思っていたワケだ。
チェケラッチョ↓
迷子の子ナルガ、これで安心♪俺は善神♪
「ちょっと!アンタね?この辺に出没するって言う変質者って?!」
「えっ?ちょっ・・・俺はアーティスト・・・」
「通報しますね」
ベリオロスは、ウルクススの足元から子ナルガを思い切り引き離すと、どこかへと飛んで行った。
俺様傷心♪加えて傷身♪ダブルで衝心♪
ウルクススの足元からは、ダラダラと流れる血が止まらなかった。