暴君の過ぎ去った時代

昼間は暑さが猛威をふるう砂原で、ディアブロスとディアブロス亜種がバッタリと出くわした。
「よお!元気だったか?」
「元気よ。そっちは?」
「こっちは・・・まぁボチボチだな」
久々の再開で、ディアブロスとディアブロス亜種は、世間話に花を咲かせた。
「そういえば、最近、この砂原でドボルベルク亜種とか幅を利かせてるみたいじゃない?」
「あぁ、昔は俺らの独壇場だったのによ」
「ふふっ、”暴君”なんて呼んで恐れられていたわね」
「あぁ、そんな古き良き時代も過去の話さ」
「あら、でもまだあなたは現役でしょ?」
「俺だって年老いたさ」
「ふふっ、やーね♪そんな言い方、中年ブロスみたいじゃない」
二匹揃って、遠い過去の栄光を思い出した。
あの頃は、こぞってやって来るハンター達を尻尾で蹴散らし、頭突きで吹っ飛ばし、怖い物無しのまさに暴君の時代であった。
「でも、ここにきて私達、スクリュー攻撃を会得したり良い事もあるじゃない」
「あぁ、若かった時よりホーミング性能も上がったしな」
「年の功・・・ってヤツかしらね」
「あぁ、俺達もまだまだ捨てたもんじゃないさ」
「ふふっ、そうね」
「あぁ、そういえば・・・美味いサボテン見付けたんだ」
「ホント?どこに?」
「今から食いに行くから一緒に行くか?」
「えぇ、ご一緒するわ♪」
二匹仲睦まじく、懐かしのサボテンデートへと洒落込んだ。