それいけ!ファンゴ君(30)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
そびえ立つ高い崖に、豪快な音を立てている滝が見えてきた。
ほーっ、すごい高さだなこれはっ!
回りを見渡す限り、崖、崖、崖。
ボクは、試しに勢いよく助走を付けて駆け登ろうとしたが、無念にも登ることができなかった。
これじゃ、高すぎて登れないじゃないかっ?!
と、崖下で無い肩を落としていると、一匹の黒いモフモフしたヤツがボクに近寄ってきた。
「オイラ、ブルック。君、この辺じゃ見かけない顔だね」
「あぁ、旅の途中なんだ・・・それにしても高い崖だな?」
「だって、ここは高地だもの」
「ふーん、どうにかここを登れないかな?」
「たぶん・・・君には無理だと思うよ。エルペなら登れるけど」
エルペは、グルグルの角をした、ちょっぴり可愛らしいモンスターだった。
アイツにできて、このボクにできない・・・だと?
ただちょっとスラっとした体型で、ボクとおんなじ蹄を持ってるじゃないか。
「モンスターってね、住む地域に適した体に進化していくものなんだよ。エルペだって、この高地に適した特殊な蹄で高い崖も登れるようになっているんだよ。それに・・・」
UZEEEEEEEEEEEーーーーっ!!
なんだよ、コイツっ?!
ウンチクばっかり言いやがって。
このウンチブルブルめっ!
ボクだって、ドスファンゴになったあかつきには、こんな崖の一つや二つ、軽く登れるようになってみせる!!
・・・ま、今のボクには高地の攻略は手厳しそうだから、別の所へ向かうとするか。
帰り道、甘い香りに誘われてこの地ならではのキノコを見付けたボクは、パクっと頬張った。
UGEEEEEEEEEEEーーーーっ!!
にっ、苦しっ!!
なんなんだ?このキノコはっ!
こんな所は、二度とゴメンだっ!
ドスファンゴになっても、ここには二度と来ないぞっ!!
ボクは、プンプンしながら次に目指す地へと向かった。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。