グークの鍋奉行

私はグークです。
最近、私がもらうご飯は薬草ばかりです。
薬草だけだと足りないので、いつもお腹をすかせています。
他のグーク達にはこんがり肉をあげているのに、どうして私には薬草だけなのか世話焼き猫さんに聞いてみました。
猫さんは、たぶん私が少しぽっちゃり体型になってきたから、ダイエットとして薬草にしたんじゃないかなと言いました。
私の健康を考えていただなんて、私の事が嫌いになった訳じゃなかったんだと実感しました。
それでもお腹は空きますが、ダイエットの為に我慢しようと思います。
ところが、最近、グーク鍋が流行っていると、他のグーク達がおしゃべりしているのを聞きました。
えっ?!
グーク鍋?
もしかして・・・
ハンターさん・・・
私の事が嫌いになって、鍋にして食べてしまおうと・・・
私を美味しく食べる為にわざとぽっちゃり体型にして、もう十分だからご飯を変えたのでしょうか?
うぅぅぅぅっ・・・
嫌だ、嫌だぁーーーっ!!
トテテテテ、ドテっ。
「ピッ(痛っ)」
うぅぅぅぅっ・・・
私は転んだまま泣き続けました。
そうしてると、ハンターさんがガーデンにやってきました。
何やら猫さんに話掛けて鍋の用意をしています。
とうとう、食べられてしまうんだ・・・。
・・・最後くらい、ハンターさんの喜ぶ顔が見られたら私は何も思い残す事はありません。
私が鍋に入る決心をした頃、ハンターさんは鍋の中に具を入れると蓋をして、私をその蓋の上にそっと乗せました。
あれっ?
ハンターさんはニコニコと笑顔で私を見ています。
どうやら鍋の具にならずに済んだようです。
ホッとしたと同時に、やっぱりハンターさんは私の事が嫌いになったんじゃなかったんだと嬉しくなりました。
嬉しいなぁ、嬉しいなぁ。
すると、なんだか足元が段々と熱くなってきました。
あっ、熱いっ、熱いよぉっ!!
私が蓋の上で足をバタバタさせていると、ハンターさんは笑顔で私をそっと降ろしてくれました。
やっぱりハンターさんは優しいんだと思いました。
ところが、地面に足を降ろすと、足の裏がなんだかヒリヒリして火傷のようにとても痛くなりました。
慌てて猫さんが、私の足の手当をしてくれました。
きっとハンターさんは私を心配してくれてるでしょう。
チラッと振り返ってみました。
ハンターさんは、鍋の中の物を大喜びで取り出すと、そのままガーデンから出て行きました。