スピンオファンゴ君 シーズン4

[ファンゴママ編]
これは、ファンゴ君の妹が旅に出る少し前のお話し。
「ねぇねぇ、お母さん、前から気になってたんだけど、お兄ちゃんのあの青いスカーフって・・・お父さんから貰った物なの?私は何にも貰ってないのに・・・」
「えっ?アレは・・・お父さんのじゃないのよ」
「えぇっ?そうなの?お兄ちゃん・・・アレお父さんから貰ったと思ってるよぉ?」
「えっ?そうなの?・・・あら、どうしましょう・・・」
母娘の間でしばらくの沈黙が続いた。
「それじゃ誰から貰ったの?」
「それはね・・・お母さんがまだお父さんと知り合う前に、お付き合いしていた方なのよ」
「えーっ?元彼って事?」
「そうよ・・・とてもハンサムで人気もあったんだけど・・・喧嘩にはめっぽう弱くてね・・・」
母は思い出しながら、はにかむように苦笑いをした。
「それで、喧嘩に強くなりますようにって、お母さんが付けていたスカーフをプレゼントしたのよ」
「・・・で?強くなったの?」
「(くすくす)ぜ~んぜんっ!」
「ダメじゃん、そいつ!」
「でもね、正義感が強くて優しいところもあるのよ。優しいくせに喧嘩がモン一倍弱いから、お母さんを取り合いして他の雄と喧嘩になった時は、お母さんがその彼の代わりに戦ったものよ」
「なによ、ソレ・・・カッコワル・・・ってお母さん、そんなに強かったの?!」
その辺の雄共にも負けず、連戦連勝の日々を思い出す母。
「ふふっ。でもね、ある日、いつものように代打でお母さんが喧嘩した時、初めてお母さんが負けたことがあったの」
「もしかして・・・それってお父さん?」
母は恥ずかしそうに照れ笑いをした。
「そう。初めて負けた悔しさも勿論あったけど、それよりもめちゃめちゃ強いお父さんに一目で恋をしてしまったのよ」
「・・・で、乗り換えたってワケね。お母さんもやるじゃない」
父は、誰よりも強く、喧嘩では負け知らずの密林では唯一無二の存在だった。
「お父さんはね、攻撃力が強いのはもちろん、なんといっても独特の観察眼を持ってるのよ」
「観察眼?ナニソレ??」
「相手の弱点や、次の一手を予測したりして、攻略方法を瞬時に確立するのがお父さんの一番すごい所よ。もちろん、相手が瀕死状態になる瞬間も見逃さないわ」
母は、自慢げに父の事を語った。
「お父さんって、すごいのね!そういえば、お父さんって今どこにいるの?ずっと会ってないけど・・・」
「お父さんはね・・・俺は究極のドスファンゴになるっ!って修行の旅に出てるのよ(くすくす)」
「さすが、親子ね。誰かさんとそっくりだわ」
しかし、あの負けず嫌いの性格は母譲りか・・・と密かに妹ファンゴは思っていた。