それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (6)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、一匹旅をしている。
遺跡平原を出発したボクは、まるで地底へと向かっているような洞窟へとやってきた。
ここを進むには下へ落ちる・・・しかないのか?
ボクは目をつぶり、なぜか息も止めて奈落の底へとダイブをした。
ドシンっ!
イテテテっ!
おぅふっ、尾てい骨がっ・・ガっ・・gっ!!
あれ?
ふと回りを見ると、遺跡平原で出会ったクン玉があちらこちらにいた。
こんな所にもいるんだな、こいつらww
ボクは尾てい骨の痛みも忘れ、抑えきれない衝動でクン玉の1匹を突っついた。
カキーンっ!
ボクの一突きで堅い玉状となってコロコロと遠くへ転がっていくクン玉。
すると、転がっていったクン玉がキキィーっ!と急にUターンをして、コロコロとこちらへ戻ってきた。
そしてボクの目の前で元の姿へと戻った。
「チュウーっ!そういうイタズラはしないで欲しいでチュウ!プンカプンカ!」
「ははっ、ごめんよっ、その・・・つい・・・ねっ♪」
「・・・君、見たことないモンスターでチュウね?」
「ボクはファンゴ、よろっ!」
「オイラ、クンチュウでチュウ」
チューチューと、こいつはネズミーランド出身なのか?
「オイラ、これでも傭兵クンチュウを目指してるでチュウよ。危険な旅のオトモに、絶対防御のクンチュウがあなたの盾となってお守りするでチュウ。今なら特別キャンペーンで大変お求めやすくなっておりますでチュウ」
こいつっ・・・営業慣れしてやがるw
「お安くってどれくらいなんだい?」
「ご新規さんだと・・・1日100ゼニーってところでチュウ」
「金かよっ?!お金なんて持ってないよっ!」
「ちっ・・・しょうがないでチュウね・・・ならば、精算できるアイテムの物納でもいいでチュウよ、例えば・・・化石骨、黄金魚、ガマの大粒ナミダ、厳選キノコ・・・」
げっ、厳選キノコっ?!
あとでお腹が空いた時に食べようと、1個だけスカーフの中へ隠しておいたけど・・・。
厳選キノコの出費を大きいとみるか小さいとみるか・・・か。
「じゃ・・・じゃぁ、この厳選キノコでオナシャンス」
ヨダレを飲んで放出した厳選キノコを、チュー助はマジマジと鑑定している。
「うーん、ちょっと傷が付いてるでチュウ、これなら・・・半日ってところでチュウね」
なん・・・だとっ?!
特選じゃないぞっ?!
厳選だぞっ?!
レアもんだぞっ?!
こいつっ、ボクの短い足元を見やがって・・・。
「イヤならいんでチュウよ、ただ、この地底洞窟には、危険極まりない輩がワンサカといるでチュウ。無傷で旅を終えたいなら、盾はあって損は無いと思うんでチュウよ」
くっそ、この商売魂の塊めっ!
しかしながら、チュー助の言う事も一理あるな。
未知の危険な敵に、保険をかけるつもりで厳選キノコを放出しても損は無いかもしれまい。
「分かったよ、厳選キノコを出しますよっと」
「ちり~ん、契約完了でチュウ!毎度ありがとうござい~でチュウ」
テッテレ~♪
クンチュウが仲間になった!
「ところで、お金を貯めてどうするんだい?」
「よくぞ聞いて下さったでチュウ!お金を貯めて、ゆくゆくはクンチュウギルドを設立しようと考えてるでチュウよ。そこで防御特化の傭兵を派遣して、オイラはその総元締めになるでチュウっ!」
「へー(棒」
ボクにとっては、わりとどうでもいい話だったな。
まぁ、でも夢とか目標があるっていうのはボクも禿同。
「総元締めになったら、傭兵共にガンガン稼いでもらって、楽して余生を過ごせるでチュウ、ウっシっシ」
こいつっ・・・銭ゲバかっ?!
ともあれ、今はボクの盾となりガンガン働いてもらおうではないかっ!
最恐モンスター共の牙をも止めるウォール・チュー助。
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。