オルタロス達の朝は早い。
今日も日の出とともに、蟻塚からワラワラと餌を求めてオルタロス達があちらこちらへと出発した。
「うっわー、やっべー、寝過ごしたーーっ!!」
夕日が美しく輝きだした頃、一匹のオルタロスが慌てて蟻塚を出発しようとした。
と、そこへ第一陣のオルタロス達が腹を十分に膨らませて帰還してきた。
「お前、今からかよっ?(笑」
「どうして起こしてくんなかったんだよっ?!」
「だってよ・・・ぐっすり熟睡してたから、悪いかなっ・・・てさ(薄笑」
「今度からちゃんと起こしてくれよなっ!」
そう言い残すとオルタロスは、プンスカと一匹で出発した。
日が沈むまであまり時間が無い。
今日は近場で餌を漁るとするか。
オルタロスは、木の傍で一匹の蝶がひらひらと舞っているポイントを発見した。
あそこなら何かあるかもしれない。
オルタロスは、急いで蝶の元へと急ぎ、辺りに餌になりそうな物が無いか探した。
・・・っ?!
いつの間にか、隣りのエリアからボルボロスがやってきていた。
オルタロスは急いで木の影に隠れると、ボルボロスの様子をうかがった。
アイツ・・・まさか・・・。
ボルボロスは、オルタロスがさっきまでいた蟻塚をいとも簡単に壊し始めた。
っ?!
み、みんな・・・。
お、俺はどうすれば・・・。
こんなちっぽけな虫けら同然のこの俺が・・・ボルボロスに立ち向かうなんて・・・無理だ!!
オルタロスは、手足がガクガクと震えるのを必死に堪えるも、その場を動けずにいた。
今は・・・この場を動いたらダメだ。
アイツに気付かれてしまう。
アイツがいなくなってから、みんなの安全を確認しに行くのが、今の俺にできるただ一つの事だ。
ボロボロに崩れていく蟻塚。
逃げ惑うオルタロス達。
そのオルタロスを一匹一匹つまんでは、口の中に放り込んでいくボルボロス。
まさに、地獄の光景だった。
うぅぅ・・・許してくれ、何も出来ないこの弱虫な俺を・・・。
しかし、オルタロスはその地獄の光景を見ている内に、ボルボロスに対する恐れよりも、激しい憎しみが増殖していった。
いつか・・・いつか必ず、この砂原中のボルボロス達を駆逐してやる!
とそこへ、一匹のメラルーが現れた。
「オルタロスさん、オルタロスさん、あのボルボロスをやっつけたいと思っているのかニャ?」
「当たり前だっ!いつかこの手で必ずやっつけてやるっ!・・・でも今の俺は・・・無力過ぎる・・・」
「噂で聞いたんニャけど、なにやら異国では、自分の何十倍も大きな敵に立体機動装置とやらを駆使して戦いを挑んでいる人間がいるらしいニャ」
「それだっ!!・・・それってどうやって戦うんだ?」
「なんか長い紐みたいなのを使って、ヒュンヒュンって敵の回りを飛んで敵の弱点を斬るらしいニャ」
「こんな俺でもそれ使えるのか?」
「う~ん、わかんニャいけど、人間が出来るんなら君にも出来るんじゃないかニャ?」
オルタロスは、頭の中でそのイメージをシミュレーションしてみた。
ヒュンヒュンッ・・・スパッ!
おうぅ!・・・なんか・・・俺、カッコよくね?
俺は決めた!
その立体機動装置とやらを使いこなして、あの憎きボルボロス達を殲滅してやることを!!
「で、どこに行けばいいんだ?この異国とやらは?」
「う~ん、たぶんあっちニャ」
オルタロスは、メラルーが指す方向へと旅立った。
俺が戻るまで、どうにか持ちこたえてくれ、みんな・・・。