スピンオファンゴ君G

[ギィギ編]
ここは凍土の薄暗い洞窟の中。
パキっ・・・パキっ!
地中からウゴウゴと一匹のギィギが這い出てきた。
「ってーっ!俺様を踏んづけるなんて、母上も糞ババァの仲間入りか?!」
母親のギギネブラに気付かれず踏んづけられたギィギ。
運よく骨が密集して落ちている場所で踏みつけられた為、骨と骨の隙間にめり込んだおかげで、辛うじて圧死から免れていた。
埋まっていた骨の間から全身を抜け出すと、洞窟の入口にいる母親の元へと再度急ぐギィギ。
「おいっ!母上っ!!さっき、俺様を踏んづけただろ?!」
ギィギは、怒りに任せて母親へ怒鳴った。
「えっ?アナタ・・・私の子?」
「は?テメーで生んだ子供の顔忘れたのかよっ?!」
「私が生んだのは卵よ。イチイチ子供の顔を一匹一匹覚えられるわけないじゃない?」
「こ・・・んのぉ、糞ババァめ!」
ギィギはチッと舌打ちをした。
「ところで、私に何か用なの?」
「は?何か用って・・・」
ギィギはもぞもぞとしている。
「ほら、周りを見てごらんなさい。他の子達は私の助けなんていらないの。アナタ達は亀の子と一緒。みんな卵から孵ったら、それぞれ自分の力で生きていくのよ」
「わ、分かってるよ、そんな事・・・」
くっそ、この俺様を亀の子扱いか・・・。
ギギネブラは溜息をついた。
「アナタ、もしかしてマザコン?」
「なっ、なんでそーなるんだよっ?!俺様はただ・・・」
「何も用が無いなら、私は行くわよ」
「あぁ・・・行けよ!どこにでも行ってしまえ!!」
ギギネブラは、ギィギを置いて洞窟から出ていった。
(あのお口の悪さは、いったい誰に似たのかしら・・・?)
一匹取り残されたギィギはチッとまたもや舌打ちをすると、洞窟内を徘徊している他のギィギ達を見渡した。
くすくすっ
くすくすっ
ギィギとギギネブラの会話を聞いていた他のギィギ達は、クスクスとギィギの事を笑っている。
「笑うな!このウジムシ共めが!!」
ふんっ、貴様らウジムシと一緒にされてたまるか。
俺様は貴様らとは断じて違う!
いつか、ギギネブラの王となって、この凍土を支配してやる!!
ギィギは、メラメラと内なる野望をその小さな体に秘めると、洞窟から出ていった。