温泉鳴動

ここは温泉が湧き出ることで、知るモンスターぞ知る秘境。
日頃、ハンター達に狙われるモンスター達が、疲労した身体を癒す為、その存在は口コミで拡がっていた。
本日も、早朝から既に先客がいる。
アオアシラとメラルーが、互いに適度な距離を保ちつつ、湯に浸かっていた。
そこへ、新たにウルクススがやってきた。
ウ「ちっ・・・今日こそ一番乗りかと思ったら、既にお前ら来てたんだな」
ア「ふっ・・・お前がお寝坊さんなだけだ」
メ「(くすくす)ニャ~」
次に現れたのは、ドスジャギィだった。
ド「おっ?皆、揃ってるな。グシシ、俺イイ物持ってきたぞ!」
ドスジャギィは、首にぶら下げていた袋から、酒と杯を取り出した。
ウ「うぃ~、気が利くねぇ~」
ア「相変わらずだな」
メ「(マタタビ酒がいい)ニャ~」
温泉の中では酒盛りが始まった。
ウ「アレだな・・・なんかツマミが欲しいな」
ア「干しアロワナでもあれば、実に最高だ」
メ「(マタタビがいい)ニャ~」
ド「温泉ときたら・・・アレでしょ~(ニヤニヤ」
ウ「温泉卵かっ?!」
ア「温泉卵だな」
メ「(温泉卵)ニャ~」
ド「ガーグァをびっくりさせて、ちょっくら拾ってくるか」
ド「・・・と言っても、俺はこの姿を見られたら時点で逃げられてしまうしな・・・」
ウ「・・・」
ア「・・・」
皆の視線が、おのずとメラルーへ集中した。
メ「(な、な、な)ニャ・・・?」
卵調達要員は、全員一致でメラルーに決定した。
しばらくして、メラルーが頭の上に卵を乗せ、息を切らしながら戻ってきた。
ド「待ってましたっ!」
ドスジャギィは、メラルーから卵を受け取ると、その卵を抱えながら温泉の中へと入った。
皆、涎を垂れ流しながら、卵を見つめていた。
ド「そろそろかな~っ♪」
ドスジャギィが、コンコンと軽く卵を叩いてみた。
すると、中からコンコンと返事が返ってきた。
瞬時に皆、顔を見合わせた。
とその時、卵にピキピキとヒビが入ったかと思うと、中から可愛らしいリオレイアの雛がヒョコッと顔を出した。
皆、揃ってメラルーへ視線を向ける。
メ「(がっ、がっ、ガーグァがまだ皆眠ってて、仕方なくどこかの巣から持ってきた)ニャ~・・・」
雛「ピィー、ピィー、ピキュッ?」
ド「・・・ど、どーすんだよコレ・・・?」
ウ「そっと返してきた方がいいんじゃないか?」
ア「同感だ」
メ「(です)ニャ~(汗」
とその時、ドシーンドシーンと明らかに大型モンスターが近寄ってくる足音が聞こえた。
ド「バレたかっ?」
ア「いや・・・これは・・・」
あちこち擦り傷切り傷だらけで、脚を引きずりながらやってきたのは、ドボルベルクだった。
ド「誰だよっ?アイツにここ教えたのっ??」
ウ「あちゃ~、アイツにだけは知られたくなかったぁ~」
ア「全くもって同感だ」
メ「(アチキじゃないです)ニャ~」
疲労困憊のドボルベルクは先客に構うことなく、ザブーンと温泉の中へと入ってきた。
シブキをもろに受け、一気に狭くなった温泉内で、皆我先にと温泉からはい上がる。
ド「・・・今日はこれで解散だな」
ウ「ちっ、しょうがねぇな」
ア「致し方あるまい」
雛「おかあさ~ん、知らないモンスターがいっぱいいるよ~」
メ「(あっ、こらっ、待つの)ニャ~」
ド「雛は頼んだぞ!」
走り出して行く雛をメラルーは追い掛けて行った。