それいけ!ファンゴ君G (1)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
異国に降り立ったボクは、穏やかな気候の土地へとやってきた。
草食種がのびのびと食事をし、浅い川が流れ、その川を辿って行くと海へと繋がっているようだった。
異国での初日は、どうやら平和に過ごせそうだ。
道端に生えていたキノコを頬張る。
うん・・・まぁまぁだな。
ボクはモグモグしながら、川沿いに続く開けた場所へとやってきた。
岩壁の近くに、ランポスのような薄ピンク色の小型の鳥竜種が数匹いた。
体の小さいものと、中ぐらいのものの2種類いた。
ん?もしかして、こいつら雄と雌でフォルムが違うのか?
へー、所変われば違うもんだな。
しかしながら、こいつらは腐っても肉食系。
いくらこのボクでも、一匹や二匹ならともかく、数匹に囲まれたら危険だ。
見付からないように、そっと迂回するか。
ボクは浅瀬を渡り、ソイツらと反対側の岩壁に沿って歩いた。
すると、ソイツらの内一匹がボクに気付いた。
「あっ、あそこに何かいる」
「あっ?あぁ、ファンゴじゃね?」
「ファンゴだね」
「うん、ファンゴだ(じゅるっ)」
ま、まずい。
これは非常にマズイぞ!
ボクは川下へ向かって駆けた。
ドーンっ!!
いててっ、なんだよっ?!
いつのまにか、目の前には大きな青い熊が立っていた。
「ハチミツちょーだーいっ♪」
は?
お前はプーさんか?!
後ろにはピンクランポスが群がってきていた。
ちっ、しょーがないにゃぁ。
「ハチミツでも何でもやるから、アイツらやっつけろ・・下さい」
「わーい、わーい♪」
「ぼくのハチミツをいぢめるやつは、やっつけるぞー♪」
青プーさんは、強靭な前脚でピンクランポス達をいとも簡単に蹴散らした。
「おっ、覚えておけよっ!」
捨て台詞を吐きながら、ピンクランポス達は去って行った。
こっ、こいつっ・・・。
ハチミツ脳だけど、なかなかどうして使えるじゃまいかっ?!
「ハチミツちょーだーいっ♪」
分かった、分かった、皆まで言うなっ!
「腹いっぱいハチミツ食わせるから、しばらくボクのオトモ決定な」
「わーい、わーい♪おとも、おとも♪」
テッテレー♪
アオアシラが仲間になった。
確か、来る途中にハチミツがあったな。
仕方ない、ここは一旦戻るか。
・・・?おっと、誰か来たようだ。
ボクらが戻ろうとした時、細い道の向こうから、さっきのピンクランポス達がドスピンクランポス的なヤツを連れて戻ってきやがった。
「へっ、さっきは負けたけど、今度は我らがボスのドスジャギィ様が一緒だぞっ!」
面倒臭いヤツが更に面倒臭そうなヤツを連れてきたもんだ。
「さっきは、ジャギィ達を可愛がってくれたようだな・・・って、おいっ!アオアシラが一緒じゃねぇかっ?!」
「え?」
「えぇ?」
「えぇーっ?」
ジャギィ達は、自分達のボスは最強で、もはや敵無しだと勘違いしていたようだった。
「すまんな、アオアシラ。おいっ、おめーら、もうアオアシラに迷惑かけるんじゃないぞ!」
「へーい」
「ふぇーい」
「ぽえーん」
なんだ、意外と話の分かるボスじゃないか。
ってか、青プーさん、やるなっww
ドスジャギィよりも格上って所か。
「ハチミツちょーだーいっ♪」
はい、はいっと。
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。