それいけ!ファンゴ君(38)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
熱い決意を胸に秘め、ボクは遠い異国へと旅立つことにした。
遠い異国は、今までのように陸続きではないだろう。
となると、海を渡る手段が必要だ。
ボクは、近所でも物知りのメラルー一族の所へと赴いた。
「ちょっと聞きたいんだけど・・・」
ボクはメラルー達に、何か海を渡る手段がないかどうか聞いた。
「う~ん・・・、あっ、最近ハンター達が大型探査船とか開発したらしいニャ」
探査船?船か・・・うん、悪くないな。
「う~ん・・・、でも、どこまで行くのかは分からないニャ」
行き先がどこであろうと、この大陸を離れられるのなら、願ったり叶ったりだ。
ボクはどうにかうまいこと、その探査船に乗り込めないか模索しながら、探査船の搭乗口近くまで潜りこんだ。
重そうな武器や装備に身を包んだハンター達が出入りしているだけで、大きな荷物とか隠れられるような物の出入りは全くと言っていい程なかった。
これは困ったぞ・・・。
いくらこのボクの突進力を賭けても、このままじゃすぐに見付かってしまう。
どうしたものか・・・。
「状況は?」
「芳しくありませんっ!」
なんて、1匹潜入コントをやってみたものの、状況が変わる訳でもなく逆に虚しくなってしまった。
ん?よく見ると、ハンター達の足元に数匹の豚を発見した。
あいつらはなんだ?
みんなそれぞれ、色々な服を着ている。
プっ・・・w、豚のクセに服着せられてやんのっww
「何してるの?」
不意に後ろから声を掛けられ、びっくりしたボクは振り返った。
そこには、なんとも涼しそうな服を着せられた、ブツブツのモスとは違う、なめらかな肌の可愛らしい豚が一匹いた。
その豚は、真っ白で、首に飾られた真っ赤な花がまた一段と肌の白さを際立たせていた。
オー!マイ・スノウホワイトちゃん!!
「あっ、あわわっ、ボっ、ボクはっ・・・」
「私、プーギーのホワイト。あなた・・・ファンゴでしょ?」
ギクっ!
ボクの事を知ってるなんて・・・、いつのまにボクは有名になったのか?!
「あなた・・・、もしかして船に乗りたいの?」
ボクは、スノウホワイトちゃんにここに来たいきさつを話した。
「すごい夢を持ってるのね、私、ビッグな夢を持ってる男性って好きよ」
あ・・・、あはは・・・、困ったなぁ~。
異種間交際は、ママにもきつく言われてるけど、こればっかりは・・・ねぇ、何事もタイミングと言いますか・・・、お互いの相性というのがありましてですね、お母様・・・。
「じゃぁ、コレ着てみて。たぶんコレ着てたら目立たずに船に乗れると思うの」
スノウホワイトちゃんは、どこから出してきたのか陽気そうな服をボクへと差し出した。
げげっ、コレ・・・頭アフロじゃんっ!!
これ、本当に目立たない・・・のか?
逆に目立つのでは・・・。
かなり窮屈ではあったが、アフロのおかげで下を向いてたら顔は隠せる。
問題は・・・ケツが丸出しだということだっっ!!
「うん、たぶん・・・大丈夫。常に私の後ろにいて」
心もとないスノウホワイトちゃんの感想に、ボクらは船へと乗り込んだ。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。