それいけ!ファンゴ君(27)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
苔タコとの競争に勝ったボクは、意気揚々と頂上へと向かった。
が、そこにいたモノは、ボクが期待するモノとは大きくかけ離れていた。
青い色のライオンキング、いや、雌だからライオンクイーンか、いやゴロが悪いな。
高貴な雰囲気を醸し出す、まさにお妃様のようなライオンだった。
イケメンの野郎、何も無いだなんて嘘つきやがって、くっそー!!
「い、いやーっ、まいったなーっ、道に迷っちゃったかなーっ」
ボクは苦笑いを浮かべながらお妃の出方をうかがった。
ライオンキング同様、腹を空かせてさえいなければ、ボクの事なんて気にしないハズだ。
グルルルルル・・・・
「あ、あははは・・・・、この前ご主人とお会いしましてですねー・・・」
グルルルルル・・・・
や、やばす、コイツ、話が通じないっ?!
「失礼しましたーっ」
ボクは来た道を戻ろうと急いで振り返った。
ところが、来たはずの道がいつの間にやら大きく真っ黒な岩で塞がれていた。
えっ?
いつっ?誰がっ?何の為にっ?何故っ?Whーyっ?
これじゃ、ここから出られないじゃまいかっ?!
あわわわっ、この状況は非常にマズいぞ!
お妃と二人っきりって、ライオンキングに誤解されるじゃないかっ?!
いやっ、お妃に食われるのが先かっ?
ボクは、生涯かつてない程にオロオロとした。
どーしよー、どーしよー・・・えーっと・・・。
ボクはチラっとお妃の方を見た。
グルルルルル・・・・
で、ですよねー・・・
すると、お妃が急に声を荒げてこちらへ向かって来ようとしている。
もうダメら~っ。
ボクは目をつぶって、小さな体をより小さく縮ませた。
ガッ!!
何か硬い物が金属にぶつかるような衝撃音がした。
えっ?
ボクは恐る恐る薄目を開けた。
すると、ボクの目の前には、あの綺麗なお姉さんと一緒にいた大男が大きな剣を盾代わりに、お妃の攻撃を防いでいた。
お、お兄さん・・・。
ボクはこの時、大男が素晴らしく頼もしく、そして輝いて見えた。
って、どこから来たんだ?
ボクはすぐさま後ろを振り返った。
出入口には相変わらずあの黒い大きな岩で塞がれたままだった。
この大男はマジシャンかっ?
あれ?
あのお姉さんは?
辺りを見渡すと、大男一人だった。
・・・ちっ。
ボクは隅っこで小さく丸まりながら、大男とお妃の戦いを見守ることにした。
大男は、一人ながらも果敢に戦い、傷一つなく、見事お妃をやっつけた。
やるな、おまえ。
大男は、お妃から戦利品を剥ぎ取り終わると、帰り支度をした。
・・・あっ、ボクも連れてって下しゃいっ。
ボクは仕方なく、大男の足元にスリスリをした。
くっそー、なんであのお姉さんじゃないんだよぉ。。。
鎧がゴツゴツしてて、痛いんだよっ、ksmっ。
ボクは悲しくも、大男に抱えられ無事に頂上を脱出した。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。