それいけ!ファンゴ君(24)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
ボクはあの崖をすべり落ちたせいで、高所恐怖症に益々磨きがかかってしまった。
体中がすり傷だらけでヒリヒリする。
しかしながら、女王に食われなかっただけまだマシだと考えると、この傷の痛みも幾分か和らいできた。
そんなこんなで無事に森丘越えしたボクは、遠くにそびえ立つ塔らしき建造物を発見した。
今では誰も住んでいないと思われる古びた塔。
お化けとか出なきゃいいけど、これも貴重な冒険の一端だ。
ボクは、その塔の入口らしき場所に入った。
中は薄暗く、所々飛来している雷光虫が灯りの代わりとなった。
なかなか雰囲気あるじゃないかっ。
その薄暗い場所を抜けると、壮大な景色が圧巻となって目の前に広がる。
うわーっ。
スゴいなーっ。
ボクはその景色に見入った。
しばらくすると、向こう側から白くて一本角を生やした馬のようなモンスターがトボトボとやってきた。
なんか、アイツ・・・、認めたくはないが・・・カッコイイじゃないかっ。
角って2本あると超ダサだけど、1本ってなんかこう、凛々しい感じでカッコイイよなぁ。
痺れるぅっ。
すると、そのイケメン白馬はボクにバチバチと落雷を当てやがった。
げげっ、ホントに痺れるじゃないかっ!
「あぁ、ゴメンゴメン」
そのイケメン白馬はボクに駆け寄ってきた。
「怪我はないかい?僕なりの挨拶だったんだけど」
「マジでバチバチするんですけど・・・」
ボクは、間近でマジマジとそのイケメン白馬を恨めしそうに見上げた。
スレンダーな体付き、薄らと浮き上がる黒い模様が体の白さを一層際立たせている。
そしてなんといっても長い脚に、鋭く天をも貫きそうな一本角。
見れば見る程、隙の無いイケメンだった。
くっそー、世の中はなんて不公平なんだっ。
マジマジと見つめるボクにイケメンは、
「僕、キリン、人間達は僕らの事を古龍の一種だと思ってるらしいけど、厳密に言うと違うんだ」
「ふーん、どう見ても馬面だもんなww」
ボクは精一杯の悪口を言った。
そんなボクの悪態にキリンは気も悪くせずに言った。
「君はこの塔を登るつもりなのかい?」
「うん、そうだよっ」
「頂上まで行っても、・・・別に何もないよ」
なんだコイツ?
なんか少し癇に障るな。
「何かあるかないかは、ボクがこの目で確かめてから判断するさっ」
「そうかい?この隣りのエリアを行く時は右側を歩かない方がいいよ」
「えっ?どうして?」
「下に落ちたら、翼の無い君だと上がって来られなくなるよ」
イケメンだからってこのボクをバカにしてんのか?
「忠告トンクスっ」
ボクは、軽く礼を言うとキリンの元を離れた。
ったく、これだからイケメンは・・・。
ボクはもにょる気持ちで歩みを進めた。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。