それいけ!ファンゴ君(25)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
右側歩行をするなと言われると、あえて右側を歩きたくなるのが世の常だ。
イケメンキリンの忠告もよそに、ボクは右側を歩いてやった。
途中で、岩壁が途切れている所がある。
あぁ、ここから落ちたら危ないという事か?
ボクは下を覗きこんだ。
霞がかってて、下がよく見えない。
高所恐怖症のボクは、底が見えると怖いが逆に底が見えないと、それほど恐怖ではなかった。
ボクはギリギリまで首を伸ばして、下を覗こうとした。
すると、足元の岩場が崩れ、あろうことかボクは下へと落っこちてしまった。
イテテテテっ。
内臓が口から出るかと思った!
ちゃんと補強汁っ。
ボクはブルブルと身震いをし、どうやって戻ろうかと上を見たが、そこには頼りない蔦があるだけだった。
悔しいが、これはイケメンの言う通りだった。
ボクは他に通れる道が無いかと、後ろを振り向いた。
ががががっでーむっ!!
そこには、緑色の角と赤い爪を持つ狐のようなモンスターが鋭い牙を剥き出しにしていた。
逃げ場は他に無い、これは絶体絶命だっ!!
ガクブルしているボクの目の前に、上から次々と4人のハンター達が降ってきた。
おまいら、ナイスタイミングっ!
ハンター達は凄腕らしい腕前で、その緑の狐をやっつけた。
うむ、ご苦労っ!!
途中、緑の狐が怒って白くなった時はもうダメかと思ったが、このハンター達はなかなかどうしてやるもんだなっ。
ハンター達は、緑の狐から戦利品を剥ぎ終わると、帰る身支度をし始めた。
・・・あっ、ボクも連れてって下しゃいっ。
いつもは糞ハンターとか言っているが、今はコイツらしか頼みの綱は無い。
ボクは4人の中でも、選ばれし綺麗なお姉さんのそばに駆け寄って、その足元にスリスリした。
ハンター達が何やら話し合っていたが、どうやらこのボクを抱えて上まで登ってくれることになったようだ。
いかにも力自慢のような大男が近付いてきて、このボクを抱きかかえようとした。
おまえはダメだっ!
ボクはこのお姉さんがいいんだっ!!
ボクは、ワザと怖がるフリをしてお姉さんの後ろへ隠れた。
大男は、頭をポリポリと掻きながら、苦笑いをした。
アカデミー主演男優賞もひれ伏すボクの演技により、お姉さんがボクをそっと小脇へ抱える。
大男はボクを羨ましそうに見ていた。
けっ、ザマァww
カス野郎に用はないんだよっ、bk。
お姉さんは、ボクを抱えたまま、力強く蔦をよじ登る。
あ、あのぉ、脇っ腹に何やらプニプニと柔らかなモノが当たるんですが・・・。
ボクは天にも昇るような気持ちだった。
おねぃさん、ボカァは幸せ者です。。。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。