それいけ!ファンゴ君(18)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
来た道を戻ってくると、途中で小さな洞窟を見付けたボクは、そこを今日の宿にしようとその洞窟へと入った。
ん?
先客がいるのか?
奥には、赤いモンスターが眠っていた。
ボクは、違うモンスターと同じ屋根の下で眠るのも悪くはないと思い、起こさないように少し離れた場所に横たわった。
朝になってアイツが起きたら、情報交換でもするか。
風通しが悪いのかな?
なんかムシムシするな。
ボクは体をブルブルと震わせ、体に絡みついた砂を落とした。
すると舞い上がった砂塵が、ボクの繊細な鼻腔を刺激した。
ヘッブシッ!
や、やべぇ。
起こしてしまったかとアイツの方をチラっと見ると、ソイツはムクリと起き上がった。
ガッデームっ!!
ソイツは、大きな翼と、立派な牙を携えて、赤々と燃えるような色合いの体からは灼熱の塵粉が舞い上がり、まさに捕食する側の王たる風貌だった。
どうやら、ボクはリアルに眠れる獅子を目覚めさせてしまったようだ。
これぞ!ライオンキングっ!!
いや、赤いからレッド・ザ・ライオンキングかっ?!
紅(くれない)の獅子というのも悪くないぞっ。
いやいや、そんな悠長に命名している場合じゃないじゃまいかっ!
ライオンキングだなんて、今のボクにはとても調理しきれないよっ。
どうするボク?
ここは撤収一択だろっ。
ところが、キングは腹が満たされていたのか、ボクには見向きもせずにまたゴロンと寝てしまった。
ボクは九死に一生を得た。
そして、キングの腹が空かない内に、ボクはそそくさと洞窟を出ることにした。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。