それいけ!ファンゴ君(13)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、二人旅をしている。
天下の大将軍となったボクは、弟子のあーちゃんを引き連れ、アプケロスの群れがいるエリアへと辿り着いた。
「おー、いるいるっ、あの中にばーちゃんはいるかい?」
「う~ん、知らないおばちゃんばかりだぉ(^q^)」
マジかよっ?!
「あーっ(^q^)」
あーちゃんがテケテケっと走り出した。
ばーちゃんかっ?
やはりここにいたのか?
あーちゃんは、道のど真ん中にポツンと突き出ている岩めがけて尻尾アタックをかました。
すると、大きな岩がボコボコっと出てきた。
いや、正確に言うと、岩だと思っていたのは何やら全身石づくめのモンスターだった。
「痛いよぉー、アプケロスちゃん・・・」
「てへへっ、バサちゃん見っけぇ~(^q^)」
バサちゃん・・・っていうのか。
見るからに全身石だぞ?!
どーしてこーなった?
「あっ、こんにちわ、えーと・・・」
「だいしょーぐんだぉ(^q^)しょーぐんたおして、だいしょーぐんにしょーしんだぉ(^q^)」
「す、すごいね、君・・・」
「い、いやー、それほどでもー」
へへっ、もっと褒めろよ、石っころ。
「ぼく、いつもカクレンボでアプケロスちゃんに負けるんだ・・・」
「すごいでしょぉー(^q^)」
なんだ?コイツ・・・。
ガタイはいいが、中身は弱っちいなw
よしっ、ボクとどっちが強いか対戦してやるっ!
ボクは、ボクが鬼役でカクレンボをしないかと提案し、バサちゃんは快く承諾した。
ボクは後ろを向いて10数えた。
ふふんっ、この辺で岩が飛び出た所は無いから、アレだな?
丸見えなんだよ、石っころ。
ボクは助走をつけて思い切りその岩目掛けて猪突タッコゥーをきめた。
ドーーーーンっ!
「イテテテテっ」
硬過ぎだろっ、石っころ!
頭がガンガンする。
こっちの頭が割れそうだ。
すると、ボコボコっとバサちゃんが顔を出した。
「痛いよぉー、ぼく負けちゃったね・・・」
ふふんっ、ボクが負けるワケが無いっ(キリッ
「あっ、ママンっ・・・」
え?
コイツのママ?
溶岩が流れる向こう側から、もはや岩の塊とか思えない大きな物体がこちらにのっそのそと歩いてきた。
おいおいおいっ?!
コイツが石なら、ママは岩そのものかよっ?!
なんだよ、あの規格外?!
ってーか、コイツが大きくなったらあんなんなるのかよっ?!
「あら、バサちゃんまた虐められたの?」
「ううん、アプケロスちゃん達とカクレンボしてたんだ・・・」
「あらそう、うちのバサちゃんと仲良くして下さってありがとうね」
「っ、いっ、いえっ、そんな、はは・・・は・・・」
石ママが近くに来ると、ボクは首が折れそうになるくらい見上げないと顔が見えなかった。
ボクはヤバイとこの息子へ無謀な戦いを挑もうとした事を即座に反省した。
「何か困ったことがあったらなんでもおっしゃい」
石ママは、優しくそう言ってくれた。
そうだ!
「あの、スミマセンっ、ボク、アプケロスのこの子のばーちゃんを探してるんですけど・・・」
ボクはアプケロスの群れが他にいないか、石ママへ尋ねた。
「そうね・・・、この辺りにいないならあとは砂漠の方かしらね」
砂漠か・・・、遠そうだな。
あーちゃんはどこかでそっと置いてくか・・・。
「あんな遠い所までこの子の祖母を探しに行くなんて、ファンゴ君も男前ね」
「い、いやー、そんなー、ボクはこの子が心配なだけですよー」
・・・・・・っ?!
ボクは今、なんて事を口走ったんだ?!
くっそー、石ママにすっかりおだてられてしまった。
ボクは石っころ親子に別れを告げると、あーちゃんと再び歩み始めることにした。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。