それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (35)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしている。
禁足地から命からがら逃げ出したボクらは、また長い道程をしばらく無言で歩いた。
すると、天にも昇るような高い崖の山々がそびえ立つ場所へとボクらは辿り着いた。
「やっとシュールな天空山に辿り着いたか?」
「へー、ここが天空山かぁ」
「だとしたら、ここの崖は脆くてあちこちが崩れかかってるから気を付けないとシュールじゃなくなるって話だったぞ?」
くっ、崩れるだってぇー?
なんて危うい場所なんだ、ここはっ?!
ボクらは、崖に近付かないようにして、なるべく平たんで安全そうな場所を歩いた。
あちらこちらに、キラキラと輝く鉱石の塊のような物が見える。
もしかして、この鉱石をフンター共がホリホリし過ぎて、地盤が脆くなったんじゃまいのかっ?
まったく、フンター共というのは・・・まっことけしからんっ!
今日からここは、ホリホリ禁止区域なっ!
隣りのエリアに入った時、ボクらの目に留まったのは、一匹のアルアルだった。
「あっ!アイツ・・・アルアルって言うんだけど、お尻からイケナイ汁を出すからリノッチも気を付けてっ!」
「おいっ、アルセルタスだろっ!いい加減、モンスターの正式名称はシュールに憶えろよっ」
Boooooーーっ!
どいつもこいつも憶えずらいんだよっ。
ブーンと低空で羽ばたいているアルアルの元へ、ドドドドっと装甲車のような大きな虫のモンスターがやってきた。
「げげっ、虫が二匹・・・」
「あれはゲネル・セルタスで雌だっていう話だ!おまえに会う前に一度だけ見たことがあんぞ」
「ほぉ、して、彼奴の弱点はいかに?」
「い、いや・・・ちょっと遠目に見ただけだから、よく分からなかったよ・・・」
さすがのリノッチ・・・さては、すぐに逃げたな?
ボクはじっくりと彼奴等の様子を窺っていると、アルアルがゲネゲネを重たそうに持ち上げながら飛び始めた。
「あいつらっ、夫婦漫才でもやる気なのかっ?ww」
「ああやって合体しながらシュールに攻撃するんだとよ」
合体技っ?!
なんという心地よい響き。
それじゃあ、ボクらの合体技は・・・手を繋いで突撃・・・か?
それこそ、ギャグだろっwww
そうこうしている内に、合体した虫夫婦は、ボクら目掛けて尻尾を縦に振り回し、空中ムーンサルトのような攻撃を仕掛けてきた。
「わぉっ!雑技団のような隙の無い技だなっ」
「一匹ならまだしも、二匹いるとなると厄介だな、ここはシュールに・・・」
「その先は言わずもがなっ」
どうせ、リノッチの事だ・・・逃げるぞっ!とかますに決まっている。
そうは豚屋が卸さないのがボクだっ!
ボクは、虫夫婦・・・特にゲネゲネの方をよく観察した。
全身堅そうな甲殻・・・四肢も堅く太い・・・尻尾も堅そうだ。
・・・となると、残るは・・・顔面・・・か?
こちらの戦力は・・・最速俊敏のボクと、堅さが命のリノッチ・・・。
ピッキーーンっ!!
この合体技なら、もしかしてっ!!
ボクは、リノッチへと耳打ちをした。
「本当におまえってやつは・・・シュールだな。って、また俺がアレかよっ?!」
そう、リノッチには再びアレを上回る働きをしてもらう必要があるのだよっ。
アルアルは、空中で持ち上げていたゲネゲネをドスンと落とし、ボディプレスをしてきた。
「今だっ、リノッチ!!」
リノッチは、気合いと根性を据える為に、ブモーっ!と一鳴きすると、果敢にも地べたに降り立ったゲネゲネに向かって突撃をした。
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。