海海海+α、一方面作戦

孤島の深い海の中、一匹のマンボウが潮の流れに身を任せて悠々と泳いでいた。
と、そこへ一匹のカツオが近付いてきた。
カ「マンボウは今日もユラユラご機嫌だなー」
マ「あ・・・カツオ君・・・君は・・・元気だった・・・かい?」
カ「何かさー、最近さー、ふと思うところがあるんだけどさー」
マ「なん・・・だい?」
カ「俺達って・・・影薄くね?」
マ「え・・・?僕達・・・水中だから・・・影は水底まで・・・届かない・・・よね?」
カ「いや、そーゆー事じゃなくてさー。なんて言うか・・・こう表舞台から遠ざかってるって言うか・・・さ」
マ「カツオ君・・・舞台で・・・演劇でもする・・・の?」
カ「・・・(ダメだ、コイツ・・・)」
と、そこへスイーッと一匹のサメが近付いてきた。
カ「おっ!サメっ!いいところにっ!」
サ「ん?なんだ?」
カ「俺らさー、なんかさー、あんまし目立ってなくね?」
サ「あ?お前、最前線に行きたいのか?」
カ「いや、そこまでじゃなくてもさー、こう血がたぎるような・・・」
サ「お前、バカだな。のうのうと泳いでいられる内が華だぞ」
カ「サメはいいさー、水中闘技場でハンター達と血気盛んに戦えるクエストがあるしさー」
サ「バカかっ?!あれで俺ら、1クエで30匹は狩られてるんだぞ?!」
カ「・・・いや・・・ごめん・・・でもさー、ちょっとぐらい俺達が主役になれるクエストがあればなー・・・なんてさー、ちょっと思ってみたわけよ」
少しの沈黙がその場に流れた。
その沈黙を破ったのはサメだった。
サ「お前・・・ハンター達と互角に戦えると思ってんのか?」
カ「おっ、俺だって本気を出せば・・・少しぐらい・・・」
サ「ふっ・・・、甘いな」
カ「なっ、なんだよっ!」
サ「いいか?よく聞け!新米ハンター共は、ただ自分の持っている武器を振り回して俺達を散らせるだけだ。だがしかし、プロ級のヤツらは、トドメにモリを使って皮やらヒレやら剥いでいく・・・って知ってたか?」
カ「・・・いや・・・今初めて知ったよ・・・」
サ「ふっ・・・これぐらい常識だぞ。今から連れてってやるから、モリを持っている連中には注意することだな」
カ「お・・・おぅっ!」
と、そこへユラーッと一匹のクラゲが近付いてきた。
ク「あれぇっ?みんな揃って、何の話してんのぉ~?」
カ「へへっ、俺達これからハンター達に・・・」
とカツオが言い掛けた時、サメがカツオの口をヒレで塞いだ。
サ「なんでもない、クラゲには関係の無い話だ」
ク「えぇ~っ?!ボクちんも混ぜてよぉ~」
サ「お前は・・・足手まといだ」
ク「えぇ~っ?!やだぁ~やだぁ~っ!ボクちんも行くぅ~っ!!」
カ「(こいつ、囮に使えんじゃね?)」
サ「(・・・お前というヤツは・・・)」
カ「そんじゃ、クラゲも一緒に行こうぜっ」
ク「やったぁ~♪」
マ「大丈夫・・・かな・・・?」
クラゲはこれから何をしに行くのか知らないまま、サメ達の後を急いで追っていった。