それいけ!ファンゴ君(10)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
遠くに噴煙漂う火山が見えてきた。
山を下りてきたばっかなのに、また山登りかよっ。
ボクは、山へ向かって歩き出した。
すると、アプケロスの子供が一匹わんわんと泣いていた。
「どうしたんだい?」
「ばっちゃとはぐれたぉ~、わ~ん、わ~ん」
はい~っ?
詳しく話を聞くと、その子供の母親は、その子がまだ小さい時に何者かに襲われ、それ以来、祖母に育てられていたが、その祖母ともはぐれてしまったそうだ。
マジかよ~~っ。
カンベンしてくれよ~~っ。
ま、はぐれたって言っても、どーせその辺にいるんだろ。
山登りのついでに面倒見てやるか。
ご対面したあかつきには、ばーちゃんから何かもらえるかもしれないしなw
「いいか、ボクがばーちゃんの所に連れてってやるから、足手まといになるなよっ」
「うんっ(^q^)」
・・・大丈夫かな、コイツ。
「そーいえば、君の名前、なんて言うんだい?」
「ばっちゃは「ぼうや」ってゆってたぉ(^q^)」
坊やって・・・、コイツ女の子だろ?
どんだけボケてんだよ、ばーちゃん・・・。
「そーか、ならボクが最適解な名前を付けてあげるよ」
何がいいかな?
アプケロス・・・子供・・・チャイルド・・・キッズ・・・DQN・・・うーん・・・。
ピッキーンっ!!
そうだ、あーちゃんにしよう。
ボクがまだ子供の頃、近所に美尻アイドルファンゴ三匹娘がいて、ボクは断然あーちゃん派だった。
アプケロスの『ア』とかぶってるしなw
「今日から君は『あーちゃん』だ」
「わーい、わーい、あーちゃん、あーちゃん(^q^)」
「あれぇ?おにいちゃん、ちっちゃいね(^q^)」
ボクを見下ろすなっ!!
「で、あーちゃんはどっちから来たんだ?」
「あっちだぉ(^q^)」
ボクらはその方向へと歩いた。
岩肌の間をくぐり抜けると、ボクはなんとも奇妙な違和感に包まれた。
何かおかしいぞ。
アプケロスはおろか、虫一匹いやしない。
なんか暑いな。
おいっ、溶岩の川が流れてるぞ。
「あーちゃん、ホントにこっちから来たのかい?」
「うーん、ちがうかもぉ(^q^)」
ボチャンっ
え?
溶岩の方から音がした。
まさかね、溶岩に何かいるなんてないよな?
ボッチャーンっ
溶岩の塊を辺りへ撒き散らせたソレは溶岩からニョキっと顔を出した。
そしてキョロキョロと辺りをうかがっている。
な、なんだよアレ?!
魚・・・なのか?
って、おいっ!溶岩だぞっ?!
アイツ、なんともないのかっ?!
どんだけ肉体改造してんだよっ!!
ボクがただただ驚いていると、ソイツは溶岩から飛び出してこちらに向かって這いずってきた。
おいおいおいっ!!
ヤバイ、コイツはマジでヤバイ。
生物としてあんな進化をするとは・・・マジでシャレにならない。
どーしてこーなった?
ボクはあーちゃんと一緒に元いた場所に逃げ戻って来た。
「あ、危なかった・・・」
「あれ、ヴォルちゃんてゆうんだぉ(^q^)」
「あ、あーちゃんの知り合いなのかっ?!」
「ううん、ばっちゃがゆってたぉ、ヴォルちゃんのとこにはいっちゃらめ~って(^q^)」
「そういうことは先に言えよっ、ks」
「けーえすってなぁに~(^q^)」
「言わせんなっ」
ボクとあーちゃん、二匹パーティでのさい先は不安な予感でいっぱいだった。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。