それいけ!ファンゴ君(8)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
宙に舞うマフラーを追い掛けて、隣のエリアに入った瞬間、ボクは絶句した。
そこには、いかにも凶暴そうな、あの牙で噛まれたらひとたまりもない恐ろしいモンスターとバッチリ目が合ってしまった。
ガチっ、ガチっ
そのモンスターはボクを見ると、鋭い歯を鳴らして捕食の準備へと取り掛かった。
ボクは無我夢中で走り出した。
ここは戦略的撤退だ。
いや、正確に言うと撤退以外に選択肢は無い。
すると、シャカシャカと爪を立てながら、ヤツは物凄い勢いで追い駆けてきた。
おぃおぃおぃっ!
今度こそ絶体絶命だ!!
ボクはシャカシャカに捕まらないよう必死に走り続けるうち、焦ったせいか、間違って壁の方へと向かってしまった。
激突しないよう、壁の直前で曲がると、あのシャカシャカは壁にドーーーンっ!と激突し、牙が壁に刺さって身動きが取れないでいる。
今の内に遠くへ逃げるんだ!
あっ、マフラー・・・、くっそ、マフラーは後回しだっ。
シャカシャカは壁から牙がようやく抜けて、こちらに向かってこようとしている。
ボクは逃げ出す途中、横の壁に小さな穴を見付けた。
とりあえずこの中に隠れるか。
ボクは、小さな穴の中へ入った。
狭い穴の中はそんなに長くはなく、その行先は崖になっていた。
ここを落ちたら二度と這い上がれないだろうな。
ボクは、狭い穴の中でブルブルと体を震わせた。
これが武者震いってヤツか?
怖いんじゃないぞ、ちょっと寒いだけなんだ!
すると、穴の入口にシャカシャカの凶暴な顔がドアップで見えた。
ひぃーーーっ!
ボクは尻もちをついてしまった。
いくらシャカシャカでも、さすがにこの小さな穴には入って来れない。
餅つけ、ボク!
ここにいれば安全だ。
シャカシャカは、穴の入口手前で、穴に入ろうと必死にもがいている。
ふんっ、ザマーww
その凶暴すぐる顔で一瞬だけビビってしまったが、こうなるとカワイイもんだなw
ここまで来てみろーっ♪
おしりペンっペーンっ♪
ボクは必死なシャカシャカに対しふざけてみせた。
シャカシャカは激怒したようだったが、ここはなんといっても絶対聖域だ。
ハハハっ、いくらでも怒るがいい。
おまえのマヌケ顔を見ながら昼寝でもするかな。
しばらくすると、シャカシャカはボクを諦めて他のエリアへと移動していった。
やっと行ったか。
見た目通り短気だな。
ボクは穴を出て、近くに落ちいてたマフラーを拾い上げた。
うんっ、これでよしっと。
二度とバカ猿にマフラーを取られないよう、しっかりと首へ巻き付け、ボクは鼻歌混じりにそのエリアを抜けた。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。