それいけ!ファンゴ君(9)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
雪山も下山するだけとなったボクは、少し名残惜しくなっていた。
山は男のロマン。
 なぜ山に登りたがるのか?
 なぜならそこに山があるからだ。
うん、共感するよ。
ボクもロマンを追い掛けている男だ。
ボクはそう思いながらトボトボと、山にサヨナラを言いながら下山しようとした。
と、その時、
「組の若いモンが世話になったそうだな」
デカイ白猿がボクの目の前に立ちはだかった。
デカ猿の後ろには、例のバカ猿三匹がバカ面を下げてキャッキャッと飛び跳ねていた。
はぁーーっ・・・。
また面倒臭いのがいたものだ。
組って・・・何組だよ?おさる組か?
「ボクは何もしていないっ(キリっ」
そう言い捨て、面倒に巻き込まれるのも嫌だったので、その場を通り過ぎようとした。
「コイツ、生意気なんですよ~」
「あのマフラーも生意気だしな」
「カシラ、やっちゃって下さいよ~♪」
バカ猿トリオがデカ猿をけしかける。
このksg。
「お前、誰の許可を得てここいら歩いてんだ?あ゛?」
デカ猿はそう言うと、ボクに雪玉をぶつけてきた。
あっぶねぇーーっ!
ボクは雪玉をひょいっとステッポ回避した。
許可って・・・、お役所様かよっ。
どうやってこの場を切り抜けようか、ボクは考えた。
なるべく穏便に、かつアイツらをギャフンと言わせる方法・・・。
ピッキーーンっ!!
そうだ、シャカシャカのいる所にコイツらをおびき寄せればいいんだ!
今来た方向に逆戻りしたら、シャカシャカが戻ってきてるかもしれない。
うん、ボクって頭いいっ!
「だったら、このボクを捕まえてみろっ」
ボクはそう言うと、来た道に向かって走った。
案の定、デカ猿とバカ猿はムッキーと言わんばかりに追い駆けてきた。
ボクは元いたエリアに戻って来た。
案の定、ボクを諦めきれなかったシャカシャカがたった今戻って来たところだった。
ボクはすばやく、例の小さな穴へと逃げた。
デカ猿とバカ猿に気付いたシャカシャカは、猿達に向かってシャカシャカと爪を立てながら向かっていった。
「おいっ、聞いてないぞ!コイツ、ティガ組の若いモンだったのか?」
デカ猿は、バカ猿達へと怒鳴った。
バカ猿達は、何が何やらパニったようで、デカ猿をおいて一目散に逃げて行った。
「おいっ、カシラを置いて逃げて行くヤツがあるかっ!!」
デカ猿は逃げて行くバカ猿達に罵声を浴びせたが時既に遅し。
デカ猿の目の前には涎を垂らしているシャカシャカがガチガチっと歯を鳴らしている。
「へへっ、どうも旦那、今日も冷えますねぇ」
デカ猿は、手もみしながらシャカシャカのご機嫌を取ろうとした。
グォアーーーーーーっ!!
シャカシャカの咆哮が、デカ猿のご機嫌取りを突っぱねた。
「ひ、ひぃーーーーっ!!」
勢いよく吹っ飛んだデカ猿は、バカ猿の後を追うように逃げ出し、シャカシャカはその後をシャカシャカと追い掛けて行った。
ふん、ザマァww
やはりボクの戦略は正しかった。
アイツらが遠くへ行ったのを見計らって穴を出たボクは、ゆっくりと雪山を下った。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。