響き渡るは静寂 7

あれから数週間が経ち、メイがディモを引き連れて再びこの沼地へとやって来た。
目的はもちろんキノコ採取だった。
呑気に採取しているメイとは打って変わって、ディモは相変わらず辺りを警戒している。
思う存分な収穫だったのか、メイが立ち上がり、そろそろ帰ろうかとディモへ言ったその時、遠くからノノがこちらにやってくるのが見えた。
「あらっ?無事に生まれたのね?良かった。」
メイは嬉しそうに微笑んで言った。
メイは、初めてノノと対面し、手当している時にノノがお腹に子を宿しているのを気付いていた。
ノノとディモの一戦の後、ディモにもそれを説明し、ディモにもしぶしぶ納得してもらったのだった。
ノノは、まだ足元もおぼつかない子供達を引き連れていた。
子供達は、キャンキャンと嬉しそうに吠えながらじゃれ合っている。
ノノは、メイ達とは一定の距離を保ちつつも、こちらを見つめていたが、しばらくすると、元来た道へと戻って行った。
まだ小さな子供達は、遅れまいと母であるノノの後ろを一生懸命に追って行く。
それ以来、この沼地でノノと子供達の姿を見掛ける事は二度と無かった。