それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (38)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしていた。
生ける保存食として、ボクをしつこく付け狙うレディー・ガブとともに、ボクは崖下へと降り立った。
「トンクスでつ」
「さぁ、その辺で転んで逝っても良し、木にぶつかって逝っても良し、お好きな逝き方を選びなさいな」
なんだろう・・・この生きた心地がしない、まるで死神に告白されているかのような感覚は・・・。
「ボクはこんな所では逝けないよっ!ボクには大事な目標があるんだかんねっ!!」
「あら、アタクシに比べたらアナタの目標なんて、どうせちっぽけなものよ?」
ち、ちっぽけ・・・と言いまちたか?
ボクのこの偉大なる目標をバカにするとはっ!
ボクはプンプンしながらも、リノッチ探しを始めた。
虫夫婦と出会ったエリアへと戻ってきたが、虫夫婦はおろか、リノッチの姿も見当たらなかった。
う~ん、どこに行ったんだろうか?
隣りのエリアに向かおうとしたその時、向こうから赤いバチバチを纏った白黒のモンスターと出会いがしらでぶつかりそうになった。
こ、こりは・・・いつぞやのガチムチ兄貴・・・とよく似たモンスターだ。
ガチムチ兄貴・・・の兄貴なのかな?
お腹の調子でも悪いのか、既にバチバチと禍々しいオーラが出ていた。
「あら、ジンオウガ亜種ね。ちょうどいいわ、そこのアナタ、このファンゴをやっちゃいなさいよ!」
白黒兄貴の方を応援するとはっ!
君は敵なのか味方なのか、はっきりしてもらおうかっ!
・・・って、最初っから敵だったか。
「あぁ~ん?俺は今、すっげぇー腹が痛ぇーんだよ」
ほら、ごらんなさい。
ボクの思った通り、お腹の調子が悪かったんだよっ。
これだから、観察眼の無いにわかは困る。
「何よっ、お腹壊したぐらいで・・・意気地なしねっ」
「あぁ~ん?なんだってぇ?もういっぺん言ってみやがれっ!女だからって許さんぞ?!」
「えぇ、何度でも言ってやるわよっ!この意気地なしっ!!」
「てめ~っ!!」
おぃおぃ、なんでこうなるんだっ?
このままだとgdgdな展開になるじゃまいかっ!
「あ、あのぅ・・・お腹の調子が悪い時は、げどく草と薬草の組み合わせが・・・」
「お前もチョロチョロとウゼーんだよっ、ったく、どいつもこいつも・・・ブチかますぞゴルァっ!!」
Waoっ、なんというやさぐれっぷり。
さぞかし、あなたのご両親は悲しんでまつよ?
白黒兄貴は、ピョンっとその場で低く飛び跳ねると、赤黒い光をレディー・ガブとボクに向けてそれぞれ放った。
あれは・・・ファンネル・赤い彗星バージョンっ?!
避けても追尾してくるだろうが、それでもボクは当たるまいと俊敏な動きでそれを避ける。
ファンネル経験済のボクに隙はなかった。
・・・あれ?
追尾してこないぞっ?
劣化バージョンだったのかっ?
しかし、空中でホバリングをしていたレディー・ガブに、そのファンネル劣化バージョンが当たってしまった。
あんなのも避けれないのかよっ?!
レディー・ガブよ、日々の筋トレとは何だったのか、今一度問おう。
「痛いじゃないっ!」
「ふんっ、俺を怒らせるからだ!・・・イテテ・・・トイレ、トイレ・・・」
白黒兄貴は、格好悪くもその場を足早に去って行った。
「だ、大丈夫かい?」
レディー・ガブは、翼にファンネルをもろに食らってしまい、地べたでバタバタともがいていた。
こんなヤツでも、怪我をしたのを放っておける程、ボクは薄情者ではなかった。
「なっ、何よっ?!腹いせにアタクシを食べようってワケ?」
「ha?ボクはキノコが好きでつ」
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。