それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (34)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしている。
しばらく歩き続けるボクらだったが、どうやら道に迷ってしまったようだった。
「あれ?おかしいな・・・もう天空山に到着しても良い頃だと思うんだけどな・・・」
「天空山?」
「ああ、地底火山でリサーチした時に、ここを真っ直ぐ行けばシュールな天空山って所に着くって聞いたんだけど、どこにも山らしき物なんてねぇよな?」
確かに、この辺りは枯れ木が生い茂り、モンスターの姿等どこにもいなく、生命の息吹が感じられない、なんとも殺風景な景色が続いていた。
すると、途中に看板らしき物を発見した。
[この先、禁足地につき立入りを禁ずる]
「きんあしち?」
「要するに入るなって事だな」
「入るなって言われたら・・・入りたくなるよねぇ~(ニヨニヨ」
「ったく、おまえは・・・シュールにルールを守らないヤツだな」
ボクらは、恐る恐るその禁足地とやらに足を踏み入れた。
そこは、やけにだだっ広い場所で真ん中にポツンと大きな岩があるだけで、想像していた場所とはかけ離れた光景に、ガッカリ感が否めなかった。
「なんだ?ここは・・・シュールに何にもねぇじゃねぇか」
「・・・ん?ちょっと待って・・・あの岩の向こうに何かいるっ?!」
ボクは、岩の向こうで何かが動いたのを見逃さなかった。
そして、その何かは、岩影からゆっくりとその姿を現した。
全身、黄金色に近い白に輝く、大きな翼と長い尻尾、そして黒い2本角を生やしたモンスターだった。
あれは・・・ネ申・・・なのか?
実はここは、神の棲まう神聖な場所だったとか?
いや、待てよ、良く見ると・・・黒ゴマちゃんにも似てる気がしなくもない・・・。
「お、おいっ、コレはちょっと・・・シュールにマジでヤバい場所だったんじゃねぇのかっ?」
「いや・・・もしアレがモンスターの神様だったとしたら・・・初めて神に近付いた男となれる絶好のチャダンスじゃまいかっ!」
「おまえ・・・その内、シュールなバチが当たんぞっ?!」
ボクらは、その白ゴマちゃんの逆鱗に触れないよう、慎重に、ゆっくりと笑顔で近づいて行った。
白ゴマちゃんは、そんなボクらに気付いたらしく、こちらをジーっと見ていた。
「こっ、こんにちわっ!ボクらは怪しい者では・・・」
すると、白ゴマちゃんは突如、空へと舞い上がり、咆哮をすると白ゴマちゃんを中心にあちらこちらに光の柱のようなものが出現した。
そして、その後、その光の柱は音を立てて爆発した。
「か、神のシュールな怒りに触れたぞっ?!どーすんだよっ??」
横ではリノッチが慌てている。
むむむ、これではお供え物もできないじゃまいかっ?
白ゴマちゃんの無慈悲な怒りに、ボクは不満を募らせていた。
「禁を破っておきながら、怪しい者ではないと?」
白ゴマちゃんは、口から煙を吐きながらゆっくりと地上へ降り立つと、ボクらへ問いかけた。
「だから言ったじゃねぇか・・・」
リノッチがブツブツと隣りで小さな声で文句を言っている。
「あ・・・えーとでつね・・・お、お供え物をしようと・・・」
ボクはスカーフに隠し持っていた小さなキノコを差し出した。
「ほぉ・・・そんな粗末な供えを出すとは・・・私も蔑まれたものだな」
白ゴマちゃんは、再び空へ舞いあがって一際大きな咆哮をすると、紫色のオーラを纏った。
そして、それと同時にあちらこちらの地面が点々と紫色に光り出した。
むろん、ボクらの立っているこの地点も怪しく光り出した。
「あっ、リノッチ避けてっ!これは孔明の罠だっ!!」
「おっ、おぉうっ!」
ボクらは、慌てて今自分のいる位置から光の無い場所へと避難した。
すると、ボクの直感通り、光っていた場所から紫色の光柱が出現すると共にその場所で爆発した。
ボクは、白ゴマちゃんの絶対領域へと足を踏み入れてしまった事に、珍しくも後悔をした。
「リノッチ・・・悔しいが、ここは大人しく退散しようっ」
「そうだな・・・初めてシュールに意見が一致したな」
ボクらは、白ゴマちゃんからの追撃を食らわない内に、禁足地から脱出することにした。
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。