それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (31)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしている。
暴れ狂うバサちゃんママの親戚かもしれないモンスターのオバさんの足に刺さっている矢を抜くべく、ボクとリノッチは作戦を開始した。
リノッチが、オバさんの前で「ワーワー!」と声を上げ、なんとか暴れるオバさんの気を引くことができた。
この隙に、ボクはボルトダッシュでオバさんの足元へ走っていき、刺さっていた矢をガッシリと咥えると、思い切り引っ張った。
オバさんのめちゃめちゃ堅い外殻のおかげか、矢は先端部分の数ミリが刺さっていた状態で、思っていたよりもすぐに抜くことができた。
スポーーーンっ!
「リノッチーーっ!もういいよぉーっ!!」
ボクがリノッチに声をかけると、リノッチは修羅の形相でオバさんからの熱線ビームをなんとか避けていた。
ぷぷぷっ、リノッチもあんな顔するんだなww
「あらら?」
ようやく正気を取り戻したオバさん。
「この矢がオバさんの足に刺さってたんだよ?そして、ボクが抜いて差し上げましたっ!」
「あらら、足の痛みが引いたわ、ありがとうねボウヤ」
「おいっ!(ハァハァ)俺も(ハァハァ)シュールに(ハァハァ)手伝ったんだ(ハァハァ)ぞっ?」
「あぁ、ごみんごみん、オバさんがあんまりにも暴れるから、リノッチに気を引いてもらってたんだっ」
「あらら、どうしましょう、ごめんなさいねボウヤも」
「ボウヤって・・・シュールじゃねぇぜっ、ったく」
オバさんの労いの言葉に、リノッチはぶつぶつと小言を漏らした。
「ねえ、オバさんってバサちゃんママの親戚か何かだよね?」
「あらら、バサルちゃん?あなたバサルちゃんのお友達なの?」
「友達ってほどでも・・・」
「あらら、バサルちゃんママとは仲良くしてたのよ」
ボクは、オバさんと他愛も無い世間話を済ませると、傍で蚊帳の外になっていたリノッチに気が付いた。
「あ、オバさん、ボク達もう行きますねっ」
「あらら、何にもお構いしませんで」
「んじゃ、矢に気を付けてねっ!それじゃぁ行こうかっ、リノッチ!」
「あ、ああ」
ボクらはオバさんへお辞儀をすると、旅を再開した。
「しかし、本当におまえってヤツは・・・」
「えっ?何っ?」
「いや・・・シュールなヤツだなって・・・さ」
へへんっ、ボクはミスター・ボンジュール・シュールさっ!
ボクらは、灼熱の川が流れる傍を歩き始めた。
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。