それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (24)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、一匹旅をしている。
オドちんママとの口論で、ボクの脳内はヒートアップしていた。
「あのさー、よそさまの家庭に口出しするのはあんま好きじゃないけど、普通ママっていうのはさ、自分の事より子供の事を優先するんじゃないのかな?子供の為に餌を持ってくるのは親の務めだと思うんだ、常識的に」
我ながら、まともな事を言ったとボクは自負していた。
「なにを偉そうにっ!私が餌を取りに行ったら無駄なカロリーを消費してしまうじゃないかっ!」
いや・・・あなたの場合、消費するカロリーよりも餌から得るカロリーの方が格段に上だと思うんでつが。
それに、これ以上いったいどれだけのカロリーを摂取すれば気が済むのでせうかね?
「はたから見たら、ママは肥えてるのに、子供は小さいままで明らかに成長不良じゃまいかっ?!」
「何言ってんだいっ!子供の成長は早いんだよっ!ちょっと食べたらすぐに私ぐらいに成長するのさっ!」
確かに、さっきボクに噛み付いたやつも成長が早かったけど、オドちんママのレベルには、ちょっとやそっとじゃならんだろww
「それにしても、ママさんは子離れしてダイエットするべきだと思うよ」
「いったいなんなのさっ!アンタなんてペシャンコにしてやるよっ!」
ボクの正論に業を煮やしたオドちんママは、この狭い洞窟内でその巨体でボヨ~ンとジャンプをしてボクへと襲いかかった。
ボクは、洞窟の端っこギリギリに回避したが、いかんせん狭過ぎるこの洞窟で、ぽよぽよのオドちんママを避け切るのは不可避だった。
もはやこれまでっ!と思ったその瞬間、ボクの鋭い牙がオドちんママのぽよぽよお腹に突き刺さった。
そして、ブシューーーーーーっと辺りへ突風が吹き荒れながら、オドちんママの膨らんでいたお腹は見事に縮んでいった。
・・・あれって脂肪じゃなかったんだー。
一段とスリムになったじゃない。
一瞬でダイエットに成功したオドちんママは、まだボクへの怒りが収まらない様子だった。
ジャギンっと音を立てて体中に氷を纏い、体をくの字に曲げ、何かとんでもない攻撃のタメに入ったように見えた。
ボクのこれまでの歴戦練磨の戦いの感が、危険信号を発信していた。
オドちんママがスリム体型になったおかげで、洞窟の隙間が大きく空いている。
その隙を走って、反対側の出口へと一気に駆け抜けるしかない。
終始オドオドしているオドちんに、ボクは声をかけた。
「とりま、君も一緒に逃げるんだっ!」
ボクは、小さなオドちんの尻尾を軽く咥えると、一気に猪突スピードで洞窟を駆け抜けた。
「えっ?・・・えっ?・・・ママ・・・あの・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
洞窟を出るまでの間、オドちんはずっとママへ謝り続けていた。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。