それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (21)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしている。
黒ゴマちゃんの撃退に成功したボクらは、アイルー達がひしめく狭いエリアへとやってきた。
「でも、アイツをこのまま野放しにしておくと、この原生林一帯が凶暴化したモンスターで溢れかえるかもしれないな」
「でも、どうするのさっ?ゲネりんだけじゃ太刀打ちできないんじゃない?」
「うん・・・そうなんだよね、常識で考えたら今のこの貧弱な戦闘力じゃ、アイツには敵わないよ」
二匹揃って、うーん、うーんと悩みながら歩いていた。
とそこへ、一匹のアイルーが近付いてきた。
「ゲネポスが餌を連れて歩いてるニャー」
「ファンゴは餌じゃないよ!大事な仲間さ!」
「そうだぞっ!失敬なっ!プリプリっ!!」
ボク達は、アイルーの誤解を解いた。
「へー、珍しい事もあるもんニャねー」
「ところでさ・・・」
ボクらは、黒ゴマちゃんと謎のウイールスンの事で何か知ってる事がないか、アイルーへと聞いてみた。
「ニャーんだ、そんニャことか」
え?
そんな事?
「あれは狂竜ウイルスと言ってニャ、ホレ、このウチケシの実を食べたら発症を遅らせることができるニャ、これ常識ニャー」
「ガーン!」
「ガーンっ!」
おいっ!
このアイルーに常識を問われたぞっ?
「いやー、でも、それで発症を遅らせても、元の元凶を野放しって・・・なぁ?常識的に考えて、これはマズイ状況だろ?」
「そーさ、黒ゴマちゃんをなんとかしないと!あちこちにウイールスンとやらをばら撒いてんだぞっ?!」
「うーん・・・それも、自然の摂理ニャー」
おいっ!
このアイルー、摂理を語ってるぞっ?
ボクらは、このアイルーでは全くお話にならないので、その場を後にすることにした。
「僕は、何らかの方法を見付けてみせるよ!アイツの存在を常識化する訳にはいかないからねっ!」
「うん、そうだね、頑張んなよ、ゲネりんっ!」
君ならできるさ、きっと。
こういう熱い志を持ったモンスターが世の中を変えていくんだな。
「君は・・・これからも旅を続けるのかい?」
「うんっ!この原生林も名残惜しいけど、ボクの旅はまだまだ終わらないさっ!」
「そうか・・・頑張れよ!」
「ありがトンっ」
「あっ、そうそう、一つ言い忘れるところだったよ」
何かしら?
「君と僕は、これまで仲間として一緒にいたけど・・・もしも、次に君がこの原生林に来た時は、僕は肉食系で君は草食系だから、君を捕食する事になるかもしれないよ?だって、それって常識だろ?」
Uuu・・・Guuの音も出まてん。
おっしゃっている事は、まさに正論でございますです、ハイ。
「・・・・・・そ、そだね」
「でも、君ならそう簡単には捕食されなそうだから大丈夫だと思うけどね」
「うっ・・・そ、そうさっ!そう簡単にヤられるボクじゃないぞっ!逆にコテンパンにされないよう、そちらも気を付けたまえっ!!」
「ははっ、じゃぁな!気を付けて行けよ!」
テッテレ~♪
ゲネポスと別れた!
短い間ではあったが、禁断の絆は永遠ではなかった。
まーそーだよねー、それが普通だよねー。
・・・あれっ?
なんだろう??
なんだか、前が霞んでよく見えないやっ・・・。
ボクは、モニョる悲しみに堪えながら、この原生林を出発した。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。