それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (22)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、一匹旅をしている。
原生林を出発したボクは、雪面が眩しい寒い場所へとやってきた。
日光が反射する真っ白な雪面は、ボクの網膜を刺激する。
プルプルっ・・・
さすがにちょっと寒くなってきたな。
ここは早いとこ、通り過ぎるのが得策か。
ボクは滑って転ばないよう気を付けながら、足早に歩いた。
一面氷のような艶やかなエリアに来た時、数匹の青くて小さい魚のようなモンスターが氷の上をペタペタと歩いていた。
氷の上で魚が歩いてるぞっ?!
こいつら、どういう生態系してやがるんだ?
カプっ!
えっ?!
おケツに違和感を感じたボクは後ろを振り向くと、なんと!ボクの大事な桃尻にその青魚が噛み付いていた。
ボクは慌てて振りほどこうとしたが、青魚はガップリと噛み付いて離れない。
それどころか、その青魚はボクのエキスを吸い取っているのか、みるみると膨らんでいった。
?!
こ・・・こりは非常にマズいっ!
こいつら、ギギ坊みたいに他のモンスターの汁を吸うのか?
このままだと、ボクはミイラになってしまうじゃまいかっ!!
ボクは、犬が自分の尻尾を追い掛けるようにグルグルと回り、その遠心力にも打ち勝つスピードで、大きくなりつつあるソイツの尻尾になんとか噛み付き、思い切り引っ張った。
あうっ、ボク自身の桃尻にも被ダメが!!
がしかし、そんな事も言ってはいられない。
ボクはありったけの力を込めてソイツを引っ張った。
ふんぬぅーーーーーーーーっ!!
コイツ、絶対あとでムニエルの特選キノコ添えにしてやるぞっ!!
互いの引っ張り合いは、ボクの闘志の方が一歩抜きんでていた。
とうとう観念したのか、青魚はボクの尻への噛み付きをゆるめた。
スッポーーーーーン!!
青魚がボクの尻を離した反動でボクはソイツを離すと、ソイツは空高く飛んでいった。
しかし、グルグルと回っていたせいで、ボクの三半規管が麻痺し、平衡感覚を失ったボクはよろよろとその場でよろけてしまった。
トスっ!
よろけたボクは、何かにぶつかってしまった。
「あわわっ・・・ごめんなさい、ごめんなさいっ」
えっ?
ぶつかったのはボクでつが?
よく見ると、さっきの青魚と同じで、サメのような姿に4本の手足が付いたやや小ぶりの青魚がペコペコと頭を下げている。
「いや・・・謝るのはボクの方だと思うんでつけど?」
「えっ?・・・あっ、ごめんなさい・・・。私が何か気に障る事をしてあなたを怒らせてしまって、それでどつかれたのかと・・・ごめんなさい・・・」
「・・・いやいや、これは10-0で完全にボクが悪いのでふよ、お嬢さん。それにしても、君達って・・・魚・・・だよね?」
「ごめんなさい・・・私、スクアギル・・・です。これでも両生種なんです、ごめんなさい・・・」
両生種って・・・カエルさんとかの仲間かな?
それにしても、どうしてこの子はこんなにもオドオドしてるんだろう?
余程のトラウマを過去に抱えてるのかしら?
「ねえ、君はどうしてそんなにオドオドしてるんだい?」
「あっ、ごめんなさい・・・何か周りに迷惑を掛けてないかなって・・・気になって気になって・・・ごめんなさい」
そう言うと、オドちんは周りをキョロキョロと気にした。
「ボクは君に迷惑をかけたけど、君は何にも悪い事をしてないんだから、もっと堂々としなよ」
「ごめんなさい・・・ありがとう・・・」
う~ん、どうにかこのオドオド精神を強靭な精神へと矯正してあげたいけど、ボクは先を急ぐ身だし・・・。
「ごめんなさい、私・・・ママにお使い頼まれてたので、この辺で失礼します・・・ごめんなさい」
あっ、そう。
オドちんは、ペタペタとぎこちなさそうな歩き方で足早に去って行った。
あの子のママって・・・やっぱりデカいのかな?
あのギサギサの歯はヤバい気がするぞ。
やはりここは関わらないのが定石か・・・。
うぅぅ・・・それにしてもアイツのせいで、ボクのプリプリおケツの一部が丸禿げになったじゃまいかっ?!
おケツが風邪を引いてしまわない内に、とっととこの寒い所からおサラバしなくてはっ!
ボクは氷の上を小走りしながら進むことにした。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。