それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (19)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしている。
黒ゴマちゃんから噴出された黒い鱗粉を吸い込んでしまい、段々と意識が遠のいていくボク。
遠くでボクを心配するゲネりんの声が微かにしている・・・気がする。
・・・はっ?!
コンマ何秒か分からないけど、一瞬、意識がぶっ飛んでた。
目の前には、黒ゴマちゃんがニヨニヨ不気味な笑顔でたたずんでいた。
今、何が起きたのか全く分からないけど、なんだろう・・・このみなぎるパワー・・・これはまさしく、めざパ状態っ!!
「おいっ!しっかりしろっ、ファンゴっ!早く登ってこいっ!!」
今では、はっきりくっきり聞き取れるゲネりんの声。
「あ゛っ、うるせーよ、bkgっ!しゃしゃんなって!ksgっ!もやしはすっこんでろっ!!」
あっ・・・いや・・・これはボクの本心では・・・。
なんでだっ?
どうして思っていた事がこんなにも素直に、こんなお下劣極まりない口調に訳されてボクのお口から出たんだってばよ?!
あー、なんだろー、戦いたくて仕方がないこの衝動っ!
まるでボクの奥底に眠っていた本能が、ボクにもっと戦って相手をしこたまブチのめせと囁いているようだ。
今、目の前には黒ゴマちゃんがいる。
確か、黒ゴマちゃんは悪の手先だったような・・・気がする?
コイツをやっつければいいんだなっ?
よしっ!!
ボクは、登りかけの枝からスクっと地面へ飛び降りると、黒ゴマちゃんに向かって、右前脚をちょいちょいと曲げて挑発した。
かかってきなさいっ!
今のボクには、恐い物など何も無いっ!!・・・気がする。
黒ゴマちゃんは、ボクの挑発に乗る事もなく、冷静にその不気味な笑みを崩さなかった。
そして、前脚の片方を後ろに引いたかと思うと、勢いを付けてボクへ噛み付こうとしながら回転し、更にボクをその長い尻尾で薙ぎ払おうとした。
ボクはまるで黒ゴマちゃんの行動を予測できたかのように、全ての攻撃を軽々と回避した。
なんだっ?
この身の軽さは、尋常じゃないぞっ?!
それからも、黒ゴマちゃんの続く攻撃は、そのどれもが軽く避けられる程、ボクの戦闘能力は飛躍的に上昇していった。
最初は冷静だった黒ゴマちゃんは、段々と業を煮やした表情になると、怒りの雄叫びをあげ、なんと!頭から触角がニョキニョキと生えてきた!
なんだっ、コイツっ?!
角が生えたぞっ!
・・・ついに、本性を現したなっ?!
やはりおまえは、悪の手先の中ボスだな?
それでは、ボクも本気を出しますよっと?
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。