それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (8)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしている。
テツオさんとの戦闘を終えたボクらは、何やら怪しげな雰囲気がするエリアへと到着した。
天井から何かぶら下がってるぞ?
目を凝らしながら、ソレに近付いて見上げてみると、なんと!ソレは、何かで絡め捕られた亀甲状態のゲリョスの死骸だった!
ファっ?!
な、な、なんだよ・・・アレ・・・ってか、誰がこんな事したんだよっ?!
ガチキチにも程があるぞっ!
「あれは、ネルスキュラの仕業でチュウ。ゲリョスが大好物で、あーやって食糧を保存しておくでチュウよ」
お、恐るべしネルス卿・・・。
ゲリョスが大好物なら、万が一出会ってしまっても、ボクらに被害はないのかしら?
「ネルスキュラは蜘蛛のようなモンスターでチュウ。糸で獲物の動きを止めて、睡眠針で眠らせてくるヤツでチュウよ。オイラとしても、この辺りでは一番出会いたくないモンスターでチュウね」
蜘蛛・・・要は虫・・・だろ?変な趣味があるけど。
と、ゲリョスの死骸の下でボクらが話をしていると、いつの間にか背後にネルス卿の姿が迫っていた。
それはまさしく蜘蛛の姿で、鋭く大きな鉤爪、カチカチと顎の鋏角を鳴らしてボクらに威嚇をしてきた。
「ほぉ、私の獲物を横取りしようとはいい度胸だ」
「あっ、あっ・・・横取りなんてしないよっ、ボクらはたまたまここを通りかかっただけなんだっ!」
話が通じるなら・・・運が良ければ戦闘は回避できる・・・ハズだ。
「ん?なぜここにクンチュウがいるんだ?」
「オっ、オイラはっ・・・このファンゴと傭兵契約を結んでるでチュウ、ファンゴの盾となって安心・安全・快適な旅をお約束してるでチュウ!」
「ほぉ、いくらで契約してるんだ?その倍出すからこちら側に付かないか?」
ちょっ・・・おまっ・・・何を言いだすんだよっ?!
まさか、チュー助・・・乗り換えたりしない・・・よなっ?なっ?
「うーん、300ゼニーで契約してるから、その倍となると・・・900ゼニーでチュウかね・・・」
これはアウトっ!
しかも、ボクとは100ゼニー相当の契約だったのに、ここにきてボッタクろうとしているっ?
それに、倍だったら600だろっ?!
900ってどういう水増し計算してるんだよっ!!
コイツの銭ゲバっぷりは、安定ね。
「おいっ!チュー助っ?!君、本気で言ってる・・・のかっ?」
「ネルスキュラさん、本当に900ゼニー、ミミ揃えて前払いできるんでチュウか?」
「返り討ちにしたハンター共が、荷物まるごと置いてったのがシコタマあるからな、おそらくそれ以上は余裕であるだろう」
・・・終わった。
ボクの最後の希望は、どこにも無かった。
「そのゼニーはとっても魅力でチュウ!・・・でも、オイラはっ・・・お客様の信用・信頼をモットーに商売をしてるでチュウ!いくら格安料金とはいえ、最初に契約したお客様を裏切るような真似はしないでチュウ!!」
チュー助・・・、泣いていいれすか?
しかし、よっぽど魅惑的な金額だったのか、チュー助の目はウルウルとし、激しく歯ぎしりしているようにも見えた。
そうだよな、いくら仲間達から悪口を言われても、夢の為にゼニーを貯めるという確固たる目標があるんだもんな・・・。
こんなチュー助の顔を見てたら・・・なんか・・・たかだか厳選キノコ一個だけで、高額ゼニーを無下にしろなんて・・・言えないかもな。
こうなったら・・・寝返ってもいいのよ?
「本当にいいのか?たっぽりゼニーを手にするチャンスを逃して、後悔しないか?よく考えた方がいいぞ?クンチュウよ!!」
ネルス卿がチュー助を煽る。
・・・マジ、やめれ。
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続・・・けられるのか?