それいけ!ファンゴ君 シーズン4 (9)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしている。
ネルス卿の卑劣な交渉に、チュー助の心が揺らいでる今、ボクは・・・もう何も言うまいと腹をくくった。
万が一、チュー助がネルス卿側へ寝返ったとしても、ボクは君を責めたりしない。
君が決断した選択肢を、ボクは甘んじて受け入れるよ。
「ぐぬぬぬっ・・・」
チュー助は力んでいるのか、その小さな身体をプルプルと振るわせていた。
さぁ、ジャッジメントのお時間ですのっ!
「・・・ぐぬぬっ!お客様は・・・神様でチュウーーーーーっ!!一度失った信用は二度と取り戻せないでチュウ!!オイラは、このファンゴの信用を一度裏切ってしまったから、倍以上の働きをしないとチャラにならないでチュウーーーーーーーーっ!!!!」
金色の小さな身体から、更にまばゆい金色の後光が輝きだした。
やだ、なにこれ・・・かっこいい!!
覚醒・・・したっ?!
コイツ、ニュータイプだったのかっ!
「ほぉ、こけだけの好条件を反故にするとは・・・。では、私の敵と見なしてもいいということだな?」
カチカチっと、ネルス卿は顎を鳴らした。
「オイラが君に合わせて動くでチュウ。イザという時、盾になるでチュウよ!」
「今度は、さっきのヤツ無しだぞっ!」
「本能に飲み込まれないよう、理性をガッチリ保つでチュウっ!!」
途端にチュー助が頼もしく見えた。
このネルス卿めっ!
こんな小っちゃいチュー助をここまで追い込むとはっ!
それでは、命にかかわるタッコゥーをかましますよ?
ボクらは、戦闘態勢に入った。
さあ、狩りの時間だっ!
すると、ネルス卿はトリッキーな動きで軌道を変えながら、ボクらの背後へと一気に近づいた。
・・っ?!
速いっ、速すぐるっ!
なんだ、この動きはっ?!
速すぎるその動きに、ボクはネルス卿を捉えるどころか、避けるので精一杯だった。
「アイツにも必ず隙はあるハズでチュウ!それを見逃さないでチュウっ!!」
「がってんっ!!」
ネルス卿も、なかなか捕らえられないボクらに業を煮やしたのか、素早い動きを止め、前脚でカシャカシャと繭のような物を作りだした。
「今でチュウよっ!」
ボクは、ネルス卿が動きを止めている隙に、真ん中の脚目掛けて、パーフェクトタッコゥをかました。
前脚で繭を作り、実質4本脚で立っていたネルス卿は、少しだけバランスを崩した。
そして、ボクの観察眼はその隙を見逃さなかった。
ネルス卿の腹下へ素早く潜り、腹の内側の柔らかい場所を目掛けてボクのハイパー鋭い牙をプッ刺そうとしたその時、ネルス卿はすかさず腹部に隠していた睡眠針を出そうとした。
視界に針が迫ってくるのが、スローモーションのように映った。
ま、マズイっ!!
しかし、勢いに乗っているボクの四肢は、自分でも止められなかった。
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く?