求!カワイイ子役

氷海のとある場所で、ミュージカルに出演するカワイイ子役を募集していた。
カワイイ子役といっても、ただカワイイだけではなく、しっかりとした演技ができる子供を探していた。
「団長、連れてきたニャー」
「おっ?どれどれ?」
一見、ただの魚にしか見えない小さなスクアギルをズルズルとアイルーが引きずってきた。
団長であるウルクススは、そのスクアギルの回りを一周しながらマジマジと眺めた。
「うーん、カワイイかどうかは置いておいて、まー、サイズ的には問題ナシだな。あとは・・・演技力か」
「まー、見てて下さいニャー」
アイルーは、小さなスクアギルに台本を渡した。
スクアギルは、台本の台詞を全て暗記すると、素晴らしい演技を団長へと披露した。
「おぅ!ブラボー!!」
「それじゃ、この子で決まりですニャー」
小さなスクアギルは、リハーサルで自分の出番が来るまでの間、暇を持て余していた。
「ねーねー、アイルーさん、お腹すいたー」
「あぁ、その辺にあるオヤツでも食べながら待っててニャー」
アイルーは用事を思い出しのか、スクアギルを一匹その場に残してどこかへと去っていった。
「オヤツ、オヤツー・・・ん?・・・えもの、えものー♪」
小さなスクアギルは、その場を行き交うスタッフ達へと次々に吸い付いた。
ちぅーちぅー♪
用事を終えたアイルーが戻ってくると、そこには干からびたスタッフ達がバタバタと気を失って倒れており、小さかったハズのスクアギルが元の三倍程の、とても子役とは言えない大きさに成長していた。
「あニャーっ!また一から子役探しニャー!!」
予定していたミュージカルは、当然ながら延期となった。