スピンオファンゴ君G

[アオアシラ編]
ブーンブーンブーン♪ブナがとぶぅー♪
孤島に流れる川の傍を、いたくご機嫌の様子なアオアシラが鼻歌混じりに歩いていた。
と、そこへドスジャギィが巣穴に通じる穴から出てきた。
「おっ、アオアシラ!この前はウチのコワッパが失礼したな」
「あ、ドスジャギィくん♪ハチミツちょーだーい♪」
「・・・すまない、今は持ち合わせが無くてな」
「そーなんだー。それじゃー、こんどハチミツちょーだいねー♪」
「あ、あぁ、わかった。今度、手土産にハチミツ持ってくるよ」
ブーンブーンブーン♪ブナがとぶぅー♪
アオアシラは、また鼻歌混じりに歩き出した。
隣りのエリアへ辿り着いたアオアシラは、立派なハチの巣が付いている木を見付けた。
「わーい、ハチミツー♪ハチミツー♪」
アオアシラが、その木へ近付こうとした時、その木の根元に数匹のオルタロスがいるのに気付いた。
「うーん、うーん、オルタロスくんたちがどいてくれないとハチミツとれなーい♪」
アオアシラは、その場でペタンと座りながら、オルタロス達がどこかへ行くのを待っていた。
と、そこへ上空からバサバサとクルペッコが舞い降りてきた。
「あっ!アンタはこの前のっ?!」
「あ、ペッコさん♪こんにちわー♪ハチミツちょーだーい♪」
「はぁ?何言ってんのよっ?!目の前にハチの巣あるでしょ?自分で取りなさいよっ!」
「だってー、オルタロスくんたちがいるんだもーん♪」
「虫ぐらい何よっ!」
クルペッコは、木の下にいるオルタロス達をついばみ始めた。
すると、怒ったオルタロス達は、クルペッコへ向けて蟻酸を吐出した。
「ちょっとー、何よこれーっ?!」
クルペッコの頭からプスープスーと白い湯気のような煙が立ち込めた。
「わーい、わーい、ゆあがりペッコさんだー♪」
「なんですってぇーっ?!」
クルペッコは、アオアシラをついばみながら追い掛け回した。
「わーん、いたいよー、やめてよー、ペッコさん♪」
「今度という今度は許さないわよーっ!!」
立ち止まったクルペッコは、グオォォォーっ!と鳴き真似を始めると、上空からバサバサとリオレイアが舞い降りてきた。
着地したリオレイアは、クルペッコの姿に気付いた。
「また・・・あなただったのねっ?!」
「はっ?!しまった!!」
クルペッコは、アオアシラの背後へと隠れた。
「私じゃないわよっ!こっ、この熊がいけないのよっ!」
リオレイアは、怒りの咆哮をすると、アオアシラの背後に隠れていたクルペッコを追い掛け回した。
「あっ、ハチミツー♪」
いつの間にか、木の下にはオルタロス達の姿はどこにもなかった。
ハチの巣に腕を突っ込んでハチミツをペロペロと舐めているアオアシラ。
その傍らでは、クルペッコとリオレイアの追い掛けっこが繰り広げられていた。
今日も、いつもと変わらない平穏な孤島だった。