塵雪のエステ流

本日の闘技場では、第15回エステ大会が開催されていた。
エステ大会では、各サロンごとに2モンスター1組で参加ができる。
今回の優勝候補は、2組。
連続5回優勝の、泥雪パックで有名な、ボルボロス・ボルボロス亜種のボルボロサロン。
もう一方は、今回初参加で最新技術を駆使した風雪の乱気流システムが話題のベリオロス・ベリオロス亜種のベリーベリーサロン。
今回の審査員は、美容界のカリスマ・ウルクススさんが、全ての組によるエステを実際に体験し、その中で最も優れた組が優勝となります。
「ワタクシの審査は手厳しいわよ!どれだけワタクシの被毛が美しくなるか楽しみです!皆さん、いつも以上に張り切ってこのワタクシを更に美しくしてちょうだいっ!!」
「ベリ先生、私・・・なんだか緊張してきました・・・」
「大丈夫よ、ベリアちゃん!いつもの調子でやれば優勝間違いなしよ!!」
ベリオロスは、助手であるベリオロス亜種の肩をしっかりと抱き寄せた。
ベリーベリーチームは、自分達の順番が来るまで、エステの準備へと取り掛かった。
そしていよいよ自分の番がやってきた。
「さあ、ワタクシを美しくして頂けるかしら?」
「はい、宜しくお願い致します」
ベリオロスは助手へ合図を送ると、助手は微量の竜巻ブレスをウルクススへと吹きかけた。
「まずはこの風で、被毛に着いた細かい塵や埃を払い落します」
「あら、心地よい風ね」
次に、ベリオロスと助手の2頭は、ウルクススの上半身・下半身とに分かれ、肉球マッサージを始めた。
「あらま、なんて気持ちの良い感触だこと」
次は、ベリオロスの微量の氷ブレスでウルクススの被毛の毛根と被毛によって隠れた地肌を引き締めた。
「う~ん、冷たいけどこの冷たさで全身が引き締まるようだわ」
最後に、ウルクススの被毛の先端に残っている氷の粒をベリオロスは尻尾で優しくなぎ払った。
「以上で私達のエステは終了です、お疲れ様でした」
施術台から降りたウルクススは、キラキラと透き通った氷のように輝く自分の被毛を見て、驚きを露わにした。
「まあ、なんて素敵なの!あなた達、素晴らしいわ!!」
「ありがとうございます」
「ベリ先生っ、これで私達の優勝決まったって感じですかね?」
「まだよっ、最後に強敵のボルボロチームが待ってるわ」
「えーっ、優勝間違いナシですよぉ、絶対っ!」
「ふふっ、そうあることを願ってるわ」
最後のボルボロチームの施術が終了し、いよいよ優勝サロン発表の時がやってきた。
「さあ!今回の栄えある優勝サロンは・・・ボルボロサロンです!!」
優勝を称えあうボルボロスとボルボロス亜種。
「えーっ?!あんなに私達のチームの事褒めてたのにぃ?!」
「・・・やはり泥・・・には勝てないのかしら・・・」
「そんなに泥っていいもんですかぁ?」
「そうよ!私達も泥ブレスを習得すればいいんだわ!どうしてそれに気付かなかったのかしら!」
「・・・ベリ先生?」
「あなた、明日からボルボロサロンへ修行にお行きなさい!」
「えっ?!」
「そして、ベリオロス希少種となって帰ってくるのよ!」
「えーーーーーーっ?!」