それいけ!ファンゴ君G (27)

ボクは、究極のドスファンゴになる事を夢見て、二匹旅をしている。
成り行きでウロ氏の親の敵討ちを手伝うハメになったボクは、ズシリと重たい足取りで、ウロ氏とこの火山を歩いていた。
敵討ちってさ・・・全ウロが泣いた!ってな感動のラストならいいけど、衝撃のラストになったらどうするんだよっ?!
親の仇ったって・・・あれ?
兄弟の顔も忘れてるのに、そもそも親の仇の顔は憶えてるのか?
「あのさ、ウロ氏・・・ちなみに親の仇って・・・」
「・・・・・・彼奴の名は・・・忘れもしない・・・砕竜・ブラキディオス」
「へー(棒」
どんなヤツか分かんないけど、なんかちょっと強そうな名前だなw
「本当に親の仇なの?勘違いって話じゃ・・・」
「・・・・・・あれは・・・忘れもしない・・・」
ウロ氏は、今だ脳裏に焼き付いて離れない、衝撃的な過去について話し出した。
——————————————————–
あれは、俺がこの世に生を受けてから数時間が経った頃。
まだ幼少なる俺を含む兄弟達を、親父は一時間に一度は見回りに来ては、暖かく俺達を見守っていた。
しばらくすると、エリアの向こうから青くも所々に蛍光色の粘菌を付けたブラキディオスがやってきた。
運良く、親父が何度目かの見回りに来た時で、親父はブラキディオスから俺達を守ろうと必死に攻撃をしかけた。
親父は、体全体を使ってブラキディオスに巻き付き、俺達は親父の勝利を確信した。
だがその時、親父の身体に付着していた緑色の粘菌が赤みを帯び、突然爆発を起こした。
その衝撃で親父は怯み、地面に伏してしまった。
ブラキディオスは、その隙をつき、親父を・・・。
たったの一撃で・・・葬ったんだ・・・。
兄弟達は方々に逃げたが、俺は・・・。
地面から上半身を出したまま、目の当たりにしたその恐怖に、情けない話だが、身動き一つ出来なかった。
それが幸か不幸か、ブラキディオスは俺に気付かず、逃げ惑う兄弟達を追い掛けて行った。
俺は・・・ブラキディオスが見えなくなるまで、その姿をこの目に焼き付けた。
——————————————————–
・・・・・・。
ボクは、なんと声を掛けていいのか・・・言葉が見つからなかった。
「・・・そこで・・・お前の力を・・・貸して欲しい」
そっ、そんな強そうな相手にボク達が勝てると本気で思っているのかっ?
「いやぁ、ウロ氏が成体になってから敵討ちした方が勝率的に・・・」
「・・・・・・今やらないと・・・ダメなんだ」
「どうしてさ?」
ウロ氏は、しばらく無言を貫いた後、意を決したように言った。
「・・・・・・日増しに・・・恐怖が・・・増殖していくんだ」
それ、なんて増殖系ホラー?
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。