火山の男祭り

火山の平地で、男祭りと称してサッカーを楽しむモンスター達がいた。
リノプロスチームと、ウロコトルチームに分かれ、ボールは、その辺に転がっていた火薬岩を使っていた。
リノプロスは突進で岩を転がし、ウロコトルは地中からジャンプで岩を宙に飛ばし、それぞれ器用な立ち回りで、スーパープレイさながら両者とも真剣にサッカーを楽しんでいた。
前半0-0。
僅かな時間の休息を取り、後半に入ってまもなくの時、そのエリアへウラガンキン亜種が突如として乱入してきた為、審判のメラルーが笛を吹き、サッカーは一時中断となった。
メラルーは、試合の邪魔をしたとして、腰のポーチから1枚のイエローカードを取出し、ウラガンキン亜種へ向かって大きく掲げた。
皆、ウラガンキン亜種が静かに立ち去るのを待った。
が、サッカーに誘われなかったウラガンキン亜種は、それを根に持っていたのか、邪魔をしてやろうと尻尾から幾多の火薬岩をばら撒いた。
(あぁ、どれが公式ボールか分からなくなってしまったニャ!)
審判は、大きな音で笛を吹くと、ポーチから更にイエローカードを1枚出すと、立て続けにレッドカードを取出し、ウラガンキン亜種をその場から退場させた。
有り余る数の火薬岩。
どれが公式で使っていたボール(岩)か、メラルーが一つ一つ調べていると、そこへまた新たなる訪問者が現れた。
ブラキディオスだった。
ブラキディオスは、祭り事には全く興味が無かった。
が、通行の邪魔となる場所でサッカーをやられている事に立腹したブラキディオスは、そこにある全ての火薬岩をその鋼鉄のような剛鉄拳で次々と壊していった。
(あぁぁぁっ!な、なんてことするニャ!!)
メラルーは、一際大きく笛を吹くと、ポーチからレッドカードを取出し、ブラキディオスへ向けて大きく掲げ、一発退場とした。
ブラキディオスは「チッ!」と不服そうに舌打ちすると、その場から退場していった。
予期せぬ訪問者達が去った後、火薬岩が全て破壊されてしまった為、今年の男祭りは余儀なく中止となった。