ポポの鑑

凍土に住まうポポの親子連れがいた。
子ポポは、まだ体こそ小さいながらも乳離れをし、自分で餌を食べられるようになっていた。
「お母さーん、僕、ちょっと遊びに行ってくるねー」
「遠くには行っちゃダメよー!」
「分かってるよー♪」
僕は母の傍を離れ、隣のエリアへとやって来た。
そこには一匹のメラルーがガサゴソと何かを探していた。
「メラルーさん、メラルーさん、何してるの?」
「ん?なんだポポニャンか」
「落し物したの?僕も一緒に探してあげようか?」
「ダメダメニャっ!ポポニャンは何でも踏んづけてしまうから、ここに来ちゃダメニャっ!」
しゅんっとなる子ポポ。
「あーぁ、後で遊んでやるから、そこで大人しくしてるニャ」
「うんっ♪」
探し物を続けるメラルーに、子ポポが話掛ける。
「僕ね、お母さんが毎晩お話ししてくれる「ポポの大冒険」ってお話しが大好きなんだ♪」
「ふーん、どんな話かニャ?」
「うんとね、まだ小さいポポが一匹で冒険に出掛けてね、色んな事を経験してね、立派なポポに成長するお話なんだよ♪」
メラルーは、探し物をする手を止めた。
「ポポニャン、世の中そんなに甘くニャいんだよ」
「え?」
「幼いポポニャンが一匹で、この凍土を一回りでもしてごニャンよ」
「・・・?」
「この凍土でさえ、ベリオロスやらギギネブラ、アグナコトル亜種、ジンオウガ亜種、究極のイビルジョーだっているんニャよ?」
「・・・(プルプル」
「それらの捕食者の目をかいくぐって、無事に冒険を完結させるニャんて夢のまた夢ニャ」
「・・・(ガクブル」
「悪い事は言わニャいから、いつまでもそんなおとぎ話を信じてたらダメニャ」
「・・・うわーーんっ!お母さーーんっ!!」
子ポポは、泣きながら母の元へと戻って行った。