雪時々ウルクスス

凍える白銀の世界、凍土に4人のハンター達がやってきた。
目的は食材探索の一環として、ウルクススの狩猟にやってきたのだ。
「ウルクススってどんなモンスターなんだろうね?」
「うん、なんか名前はカワイイよな」
「それでも牙獣種らしいから、きっと恐ろしい牙を持った獰猛なモンスターなんじゃないかな?」
「楽しみぃ~っ♪」
どうやら4人揃って新米ハンターのようだった。
ベースキャンプを後にした4人は、雪がチラつくエリアへと足を踏み入れた。
そのエリアへ突入した途端、あまりの寒気に皆ホットドリンクを一気に飲み干した。
「よーーっし!では、いざウルクスス探索へっ!」
4人は、雪面を踏みしめながらウルクススの探索を開始した。
しばらく進んで、ふと何かの気配を感じ取った1人が振り向くと、雪壁から白いモフモフしたモンスターが顔の半分だけをちょこっと出してこちらを見ている。
「アソコに何かいるぞ・・・」
「えー?ナニナニ~?・・・やだ~っ!カワイイ~っ♪」
「何だアレ?」
「なんかウサギみたいだね」
「おいでおいで~っ♪」
一目ですっかりお気に入りになってしまったハンターの一人は、その場でしゃがみ込み、その白いモンスターに対して手招きした。
「ったく、猫じゃないんだからよー」
「えーっ?いいじゃない、あんなにカワイイんだし、きっとおとなしいよ、あの子は♪」
しかし、その呼び声も虚しく、その白いモンスターはひょいっと顔を引っ込めてしまった。
「あっれ~?人見知りさんなのかな?クスっ♪」
「ほら、もういいだろ?ウルクススの探索に行くぞ」
「は~い」
4人はウルクススの探索を開始した。
しかし、またしばらく進むと、後ろから何かの気配で気付いたハンターが振り返ると、例のあの白いモンスターがひょこっと顔の半分だけを出してこちらを見ている。
「ふふっ♪カワイイね、あの子♪私達の事が気になるのかな?」
「特にこっちに危害を加えようともしていないし、放っておくぞ」
そんな事を何度も繰り返しながら、ハンター達はウルクススの探索を続けた。
しかし、凍土一帯を隈なく探しても、目的のモンスターは見付からない。
探索の制限時間は、刻一刻と迫ってきている。
「ねえ、もしかしてウルクススってさ・・・さっきから僕達の後を付けて来ているあのモンスターの事かな?」
「・・・えっ?」
「ちょっ・・・依頼書よく見てみろよ」
ハンターの内の一人が手にした依頼書をじっと見る。
「・・・あっ・・・あれかも・・・しれない・・・」
どれどれと他のハンター達もその依頼書を目にする。
「依頼名が”雪のちウルクスス”って、雪のちって感じじゃないぞ!あれじゃ雪時々じゃないか!違うんじゃないのか?」
「えーっ?!やだーっ!あの子を狩猟するなんて出来ないよ!!」
「ど・・・どうする?」
4人は、今も後ろでチラっとこちらを見ている白いモンスターを見つめながら、終始無言で考え込んだ。
「リタイアしよう!」
「リタイアしようぜ!」
「リタイアしようよ!」
「この依頼、差し戻そう!」
多数決により、今回の依頼は破棄された。