魚竜サミット

「それでは、栄えある第一回 魚竜サミットを開催する」
議長であるガノトトスの第一声で、サミットが開始した。
「出席者は・・・これだけか?」
席上には、議長であるガノトトスの他に、ガノトトス亜種が一匹いるだけだった。
「だって・・・魚竜種って俺達だけだし・・・」
唯一の出席者、ガノトトス亜種が答えた。
「ほっ、他にもいるだろう?!」
「あっ、デルクス?呼んでこようか?」
「いらんいらん、あんな小物!」
「うーん、じゃぁ、カツオとかマンボウとかサメ・・・とか?」
「馬鹿者っ!アイツらは魚竜種ではなくただの魚類だ!!しかも小物中の小物だっ!!」
「うーん、・・・じゃぁドスガレさんとかヴォルさんとか?」
「生息域が違うんだ!今から呼んでも、間に合わないだろう!」
「えー、じゃぁもう誰もいないんでない?」
「む、仕方が無い・・・それでは私達だけで進めよう」
「ほーい」
議長は、今回のサミットで議題にする内容へと目を通した。
「それでは第一号議案、釣りカエルへの食い付き防止について」
「あー、カエルねぇ」
「最近はめっきり減ったが、今だにハンター達の釣りカエルに騙される輩が多いと聞く」
「あんなのに引っ掛かるバカがいるのかねぇ」
「複数のハンター達がいれば、物音やその気配で釣りだと分かるが、ハンターが1人で気配を消していると、釣りかどうかの判断が付かないとの苦情が来ている」
「じゃぁさ、釣りって岸辺でしかやってないから、岸辺付近のカエルは釣りだと公言したら?」
「それ採用!」
「さて、第二号議案、落とし穴及びシビレ罠への引っ掛かり防止について」
「あー、罠ねぇ」
「特に水中では効果を発揮しない落とし穴が、陸地では多用されると聞く」
「あんなの、一目見れば分かるっしょ」
「大概の陸地では目視できるが、浅瀬に張られると罠が水面よりも下になる為、非常に判別しずらいとの苦情が来ている。最悪の場合、それによる死亡事故も多発しているとのことだ」
「もうさ、個々で気を付けるしかないんでない?」
「うむ、これは懸念事項として引き続き調査が必要だな」
「さて、第三号議案、音爆弾への対処方法について」
「あー、音爆弾ねぇ」
「ハンター達による音爆弾で、我々はその衝撃で思わず陸地へ飛び出したり、硬直してしまうとの苦情が来ている」
「あーもう耳栓耳栓・・・あれ?俺ら耳ってどこにあんの?」
「む、これは・・・聴覚保護のスキルが必要そうだ。改めて協会への苦情案件として処理しよう」
「さて・・・」
「えー、まだあんの?」
「何を言うか?栄えある第一回だぞ?ここはきちんとやっておかなくては・・・」
「あーもーいいよ、どうせ俺らしかいないんだし、残りは全部、議長へ委任しまーす」
「・・・・・・」
こうして第一回魚竜サミットは閉会した。