それいけ!ファンゴ君(36)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしていた。
我がカワイイ妹をたぶらかしているチャラ猿と一緒に、ボクはHCドスファンゴの探索に取りかかった。
「・・・あっ、ちょっと待っててもらっていいっスかぁ?」
は?
なんだよっ、先を急ぐのにっ!
はよっ!
チャラ猿は腰を少し落とすと、なにやら踏ん張るポーズをとった。
ま、まさか・・・。
プフーーーっ!
チャラ猿の下半身から黄褐色の煙が立ち上る。
ちょっ、おまっ・・・?!
「あーっ、スッキリっスぅ!」
スッキリじゃねぇよ、粕gっ。
「おまえなぁ、まさかボクの妹の前でもそんな事やってんのかっ?」
ボクは繊細な鼻腔を葉っぱに押し付けながら言った。
「てへっ♪」
てへっ♪っじゃねーよっ、一度タヒんで来いっ!
そんな不毛なやり取りをしていると、目の前の地面がボコっボコボコっと隆起し、何かが地面の下から出てきた。
それは、赤と白の模様をした大きな蟹だった。
なんだ、蟹かよっ。
「ちょり~~っス!ザザミ姐さん♪」
は?
知り合いかっ、コイツら??
「あら~っ?コンガちゃんじゃな~いっ」
蟹のクセに随分と艶っぽいな。
「どこ行くのかしらぁ~?」
「へへっ、ちょっとHCのドスファンゴの所っスよぉ」
「・・・止めておいた方がいいわよぉ~」
止めろと言われて止めるボクではないのだよ、壇蟹君。
「ファンゴ兄ちゃんがいるから大丈夫っスよぉ」
「ふ~~ん」
壇蟹は、ボクを舐めるように上から下へと熱い視線を往復する。
「あら、意外とカワイイのね、坊やも♪」
蟹に惚れられても・・・。
まぁ、種族は違えど、雌に惚れられて悪い気はしないがな・・・。
しかしながら、それこそ止めておいた方がいい。
このボクに惚れたら単なる火傷じゃすまないぞっ。
「それじゃ、気を付けて~」
ボクらは、壇蟹に見送られながら先を急いだ。
とその時、突然後ろから物凄い水圧がボクの排泄溝を直撃し、ボクは何が起こったのか分からないまま、無重力空間のように宙を舞った。
なっ、なんなんだっ?!
「へへっ、サザミ姐さん、気に入った相手に泡ブレスするんスよぉ」
なっ、なんだっ、その歪んだ性癖はっ?!
痔になるじゃないかっ!
まったく・・・このボクでさえも、手に余るヤツだっ!!
ボクは後ろからの熱視線に怯えながら、前へと進んだ。
ボクらの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。