それいけ!ファンゴ君(32)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
バカ猿親子を残してきたボクは、洞窟の入口を発見した。
ここの洞窟には何か美味しいものでもあるのかな?
洞窟へ入ると、奥がポッカリと大きな穴になっていて、更に下へと続いているようだった。
うぅぅっ・・・。
高所恐怖症のボクだったが、ここは意を決して下へと降りることにした。
目をつぶり、助走を付けて思い切りダイブ!!
ドスンっ!
イテテテテっ。
お尻を少し打ったようだ。
少しモヤがかかっているようで、かなり視界が悪かった。
手さぐり状態で歩いていると、ドンっと何かにぶつかった。
イテテテっ。
「おや、こんなところにハンター以外の客人とは珍しい」
わわわっ。
びっくりしたっ!
その何かはゴツゴツとした岩のような大きな蟹だった。
「何か美味しいものがここにあると聞いて・・・」
ボクは咄嗟に誤魔化した。
「うーん、ここには君が食べられるような物は何もないと思うがね」
そっか、何もないのか・・・。
っておいっ、決死の思いでダイブしたんだぞ?!
ケツまで打って収穫無しかよっ?!
ボクはガクっとうなだれた。
とそこへ、4人のハンター達が次々と上からダイブしてきた。
「ふむ、食べられる物は無いが、面白い余興を見せることができるかもしれんぞ、童」
岩蟹はニヨリとして、戦闘態勢に入った。
わわわっ、ここで戦うのかよっ?!
狭いからこっちまで被弾するじゃないかっ!
ボクは隅っこで体を小さくして、その余興とやらを見守ることにした。
岩蟹とハンター達との戦いが始まった。
ハンター達が岩蟹の体へ攻撃をしかけると、体の表面に付いている岩がボロっとくずれ、中から鮮やかなオレンジ色の皮膚が見えてきた。
アイツ・・・、本当はあんな色してたのか?
ん?
ハンター達の足元を見ると、何かキラキラとした物が落ちている。
何だろう?
・・・めっちゃ気になる。
岩蟹とハンター達が向こう側へ行った隙にボクは、そのキラキラした物の所へと走った。
こっ、これはっ?!
食べてみると、少し粉っぽいがなんとも美味しいキノコだった。
なんだよ、あるじゃないか美味しい物!!
アイツ嘘付きやがって。
ボクはあちこちに落ちているキノコを次々と頬張った。
うまうま~ww
ふと岩蟹の方を見ると、苦戦しているのか、オレンジ色の皮膚の面積が大分広がっていた。
ボクは少しだけ心配になった。
が、岩蟹は不敵な笑みを浮かべると、ボクに向かってこう言った。
「私はあと1回の変身を残している、心配するな童」
すると、岩蟹が突然、床を叩きつけ、ボク達は全員更に下へと落ちていった。
わわわわわーーっ!
ドスンとまた尻もちをついたが、それ以上に驚くのは、岩蟹の姿だった。
青白い光で包まれ、最初の姿はどこへいったのか、かなりスリムな体型になっていた。
そしてその動きは、かなり俊敏でとてもこの世のものとは思えない光景だった。
アイツは・・・宇宙から来た物体Xかっ?!
これにはさすがのハンター達も太刀打ちできないようで、ハンター達は皆逃げて行った。
ハンター達を無事退けた物体X蟹は、ボクへと近付いてきた。
「どうだ?なかなかに面白かっただろう?」
「はいっ!とても美味しかったれす(^q^) 」
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。