それいけ!ファンゴ君(19)

ボクは、偉大なるドスファンゴになる事を夢見て、一人旅をしている。
キングのいた洞窟を出たボクは、寝床を求めて歩いているうちに、砂漠を抜けてしまった。
ここはどこだ?
そこは、岩だらけの崖と何か人工的な建物の間に一本道があるだけだった。
ここを真っ直ぐ行ったらどこに辿り着くんだ?
ボクはテクテクと眠たい目を擦りながら、道なりに歩いた。
ドシーン・・・ドシーン・・・
何かの振動が地面を伝ってくる。
なんだ、なんだ?
ボクは振り返った。
遠く離れた靄の中から現れたその姿は、めっさ脚の長い蟹お化けだった。
ボクはあまりの大きさに、その蟹お化けが目の前を通り過ぎるのをただ口をポカーンと開けたまま見送ることしかできなかった。
蟹お化けは、行く手を阻む橋の前で立ち止まると、ゆっくりと後ろを向くと、その橋に向かって、殻から蟹大砲をぶちかました。
橋が壊れると、またゆっくりと向きを直してまた歩き続ける。
おぃおぃおぃ、進路に邪魔な物は何でも壊して進んで行くのかよっ!
ボクはあっけにとられたまま、蟹お化けが靄で見えなくなるまでその背中を見送った。
すると、また遠くから、ドシーン・・・ドシーン・・・と振動が地面を伝わってきた。
蟹お化け様ご一行か?
ボクは振り返った。
靄の中から現れたのは、さっきの蟹お化けなんかじゃない。
ヌっと出てきたその顔は、まさに龍の顔だった。
なんだ、龍か。
・・・・・・。
・・・えっ?
・・・ええーっ?
ボクが驚いたのは、顔の続きの体がどこまでもどこまでも出てくる事だった。
コイツの体はどこまであるんだ?
しばらくすると、ブーンブーンと、左右に揺れる尻尾がようやく見えてきた。
なんだこの規格外?
いや、規格外なんてもんじゃないぞ?!
宇宙キターっかよっ?!
宇宙サイズじゃないかっ。
ボクは揺れる地面をしっかりと踏みしめ、そのドラゴン・オブ・コスモが通り過ぎるのを待った。
が、ブーンブーンと揺れる尻尾がボクへと近づいてきた。
なんかヤバそうだぞ。
ボクは尻尾が向こう側へ揺れるのを見計らって、トリプルアクセルダッシュをかまし、戻ってくる尻尾を間一髪すり抜けた。
そして振り返ったボクは、コスモの後ろ姿をただだまって見送った。
ふーっ・・・。
ボクは何も考えないようにして元来た道を戻った。
・・・つもりだったが、何かお城みたいなのが見えてきた。
すると、大きな影が地面をよぎった。
ボクは空を見上げた。
オーマイガっガっ・・・ガっ?!
空には真っ黒で物凄く大きな龍が飛んでいた。
その姿は、大きな翼で首と尻尾が異様に長かった。
おぃおぃ、こいつで連続デカいの3匹目だぞ?
まさか、これがビッグ3ってやつ・・・なのか?!
もはやネ申の領域だろ、こいつら・・・。
ソイツは、空から火の玉ブレスを飛ばしてきた。
ヤバス、ヤバス、テラヤバス!!
ボクは、無我夢中で走って逃げた。
どこまで走ってきたのだろうか?
・・・・・・・・・。
そうか、これは夢なんだ。
だって、こんなに眠いし、疲れてるし、あんなヤツらがこの世に存在するだなんて神様が許すハズがないっ。
ボクだって断じて許さないぞ!!
これは夢だ・・・夢なんだ・・・。
ボクは自分にそう言い聞かせると、歩いている道の片隅で眠ってしまった。
ボクの飽くなき道の冒険譚はまだまだ続く。